トゴットメバルの稚魚・幼魚をめぐる作業仮説(未定稿):写真追加 | ウッカリカサゴのブログ

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日本産魚類の仔稚魚のスケッチや標本写真、分類・同定等に関する文献情報、
趣味の沖釣り・油画などについての雑録です。


 

クロメバル  36.5mmSL  170516  千葉県岩船

 

メバル亜属5種の稚魚(新鮮標本の写真)(2017-03-26)で本ブログに載せた体長20mm前後の稚魚の標本写真において,上から2番目のトゴットメバルとした稚魚が実はクロメバルであることが,このタイプの稚魚を数個体飼育した結果判明した(トゴットメバル特有の斑紋は出なかった)。

 

飼育したクロメバル 68 mm TL  千葉県岩船産(胸鰭条数は左16,右17)
【全長約3cmの個体を3月中旬から自然海水(かけ流し)で飼育し,約2ヵ月後の5月17日に固定】

 

一方,トゴットメバルと思われる幼魚の生態写真がネット上にあり(例えば,魚類写真資料データベースのクロメバル KPM-NR0098038 伊豆半島西岸,宇久須 20040502 撮影者:内野美穂),斑紋の形成過程が繋がりそうであることから,1番上のウスメバルとした稚魚が実はトゴットメバルではないかと思えてきたのである。

 

とすると,下から2番目の最初クロメバルとしたタイプ(胸鰭条数16)の稚魚は何になるのだろうか。

メバル3兄弟間のいずれかの組み合わせによる交雑個体の可能性も否定できないが,再検討してみたい。

 

ところで,今回の訂正を伴う作業仮説で,確実にウスメバルと同定できる稚魚が認識できていないことが問題であり(遺伝子解析結果から,ウスメバルトゴットメバルの稚魚は酷似している可能性が極めて高い),先ずは手持ちの標本で検討してみたい。

 

最後は遺伝子解析に頼ることになるのだが,どうしたことか最初ウスメバルとしたタイプの稚魚をエタノール保存していなかった。最悪,来季に持ち越しか?

 

 

さて,上の5タイプの稚魚のうち,一番上の最初ウスメバルとしたのと酷似する稚魚(幼魚)が魚類写真資料データベースでクロメバルとして登録されている。

もし今回の作業仮説が正しいとすると,これらはトゴットメバルとなるのだが,どうなんだろうか?

 

クロメバル  NR0107846~NR0107850

伊豆半島東岸 2014-05-14 瀬能 宏 氏 採集

出典:魚類写真資料データベース

http://fishpix.kahaku.go.jp/fishimage/