神通峡かいわいの昔話集 第72話 「又兵衛の刀」 企画・編集 佐田 保又兵衛の刀 富山市塩 むかし塩村に「ゴーライ又兵衛」という侍がいた。 この人の持っていた脇差しは由緒ある銘刀であったと伝えられている。この銘刀の目抜きのところに、巧みな雄鳥の彫り物がしてあった。 又兵衛が所用に出て、帰りが遅くなって夜中の八幡野を通っていると、妖怪に出会い、迷わされそうになった。 すると何処からか一番鶏の鳴き声が聞こえて来た。妖怪は夜明けが近くなったと気づいてあわてて消え去った。 しかしまだ夜は深く、実は目抜きの鶏が急を知って「とき」のに声を挙げたので、危うく難を逃れることができたという。 大沢野町誌