部屋の片付けをしていたら、書類ケースの中から小さな紙片がまとまって出てきた。
もう十年ほど前に、読んだ本や観た映画で気になったフレーズを書き出した覚え書であった。
格言とか至言とは言わないけれど、その時に自分の心に触れた詞群である。
パラパラと見てみたが、何だかこそばゆい感じがした。
センチメンタルな詞が多くて、今よりも若かった自分の恥部を見るような恥ずかしさである。
しかし、そのまま捨て置くのももったいないので紹介していきたい。
やたらと海外ミステリが多いのは、その頃はまっていたからである。
特にディック・フランシスは一冊に一つは詞を抜き出していたような気がする。
1「同情は思慮のある態度だし、憐みの方は無作法ですよ。」(ディック・フランシス『大穴』P160)
2「結局、むなしくつみ重ねた歳月と悲嘆、それだけが私の唯一の財産であり、最大の負債なのだ。」(ジェームズ・クラムリー『酔いどれの誇り』P9)
3「人間の体は、いつも人間を裏切る。」(同書 P112)
4「相手に対する思いやりは、情熱よりも深く長く心を打つ。」(同書 P264)
5「若さはすべてのものに耐えられる。王たちにも詩にも恋にも、すべてのものに。ただ、時のほかには。」(ジェームズ・クラムリー『さらば甘き口づけ』P91)
6「一人の人間のすることは頭も心も身体もすべて関係があるんです。一つ一つの行動が余病を、影響を生むんです。」(同書 P359)
7「人が人にしていることが心を突き刺す。」(ローレンス・ブロック『八百万の死にざま』P290)
8「人は腹をへらしすぎてはいけない。怒りすぎてはいけない、孤独になりすぎてはいけない、疲れすぎてはいけない。」(同書 P400)
9「人生そのものは決して美しいだけのものではないが、そうありたいと願う人生は美しい。」(アッバス・キアロスタミ『そして映画はつづく』P161)