相変わらず、月末月初は残業が続いたが、
それ以外は休みを取ったり、自由がきくようになった。
あの人がいたから、私は離婚を乗り切れた。
もちろん、家族や友達の存在も大きいが、一番はあの人だ。
私の仕事が早く終わるときは、あの人は私のマンションに来て
夕食をし、月に一度は海へ行った。
2008年の9月。
もうすぐ中間決算、という時期、私は会社を辞めた。
元来、旅行好きの私。
独身になったし、友達も海外に住んでいることもあり、むくむくと
旅行癖が頭をもたげたのだ。
会社のことを気にしながらではなく、ゆっくり遊ぼうと思い、
派遣契約を更新しなかった。
半月ほどヨーロッパをめぐり、帰国後も気ままに国内外問わず旅行し、
今はのんびりとプー太郎生活をしている。
だいたい週3日はあの人が私のマンションへ来ては一緒に夕食をとる
生活をしている。
もちろん海にも行っている。
以前より一緒に過ごす時間が増えたせいか、私たちはどこか
似てきたかもしれない。
外で食事をしていても、夫婦と間違えられることが多く、
ちょっと嬉しい私がいる。
幸せだが、それ以上を望んではいけない切なさ。
幸せと寂しさが紙一重。
お互いの存在を公にできない虚しさ。
それが不倫の辛さなんだろう、と思い知らされている。