来年の事業計画を考えている中で
中国人社員の昇給をどうするかという難問にぶち当たりました。

中国では、地域ごとに最低賃金が決められていて
その上昇幅に応じるように、各企業でも昇給せざるえないのが実情です。

政府は、5年で所得倍増を打ち出しており、
平均すると、毎年、15%もの賃金増になります。

先月末、北京地区では、21%の最低賃金増を打ち出しました。
6ヶ月前にも20%アップさせているので、1年で40%も最低賃金が
アップしていることになります。

大半の企業は、安い人件費を求めて中国に来ているのに、
そのメリットが薄れていく事になります。

11年7月からは、社会保険法の改正もあり
労務工(製造派遣社員)の人件費負担が60%も増加します。

恐ろしいコストアップです。

日本の高度経済成長期もそうだったのか?
そのとき、欧米企業も同じことで悩んでいたのか?
なんて考えながら、どうしたら良いのか悩む日々が続きます。


この状況を受け
「でも、そうすれば、日本に仕事が戻ってきて、日本の景気が良くなるんじゃないか。」
と楽観的なことを言う人がいました。
「そうですね。円高さえなんとかなれば、そうなるかも。」と賛同する人もいました。

この発言が僕にはとてもひっかかりました。
果たして本当にそうなるのでしょうか?

僕は、今の日本が、為替を是正した程度で
景気の良かった時代に戻れるとはとても思えません。

だって、これだけ不景気だって騒いでも、みんな普通に生活できてるし。
つまり、昔の良かった時代が良過ぎただけで、それが世界標準の生活レベルに
戻ってるだけだと思っています。

為替レートがおかしい、と言う人がいますが、仮に世界標準通貨ができて
為替による経済への影響がない世界を想像してみます。

人口10億人、天然資源豊富で広大な国土を保有し、
物価が比較的安くて、政治が(手段の善し悪しは別として)安定している中国。

人口1億人、天然資源皆無で狭い国土でうんざりし、
既得権者の高い給料を払い続け、政治が役に立っていない日本。

ちょっとくらい日本人が勤勉で労働向きな性質を持っていたとしても
為替を是正した程度で中国に勝てる気がしません。

物資が1日あれば世界中どこでも到達し、
情報に至っては、光の早さで世界を飛び回るグローバルな現代社会において、
世界に散らばる貧富の格差も急速に収斂して行きます。

富める国は、生活レベルを相対的に落として行き
貧しい国は、生活レベルが相対的にあげて行く。

でも、これこそ、日本人の誰もが(特に民主党が)口にする
格差のない理想的な社会なんじゃないんですか?

それを求めるってことは、日本人にとっては、
生活レベルを相対的に落とすって事なんだと思います。

それとも、日本の中の格差は嫌だけど、国レベルの格差は
残しておきたいってこと?
それは、虫が良過ぎますね。
グローバル競争に参戦した以上、そういうリスクは負ってるんです。

国民のリスク認識が甘いから、そういう教育をしてないし、
マスコミも騒がないから、民主党みたいな社会主義政党に
政権を持たせちゃうんです。

嫌だったら鎖国して、グローバル競争から脱退して
現状維持を目指して頑張るしかない。


悲観的な未来しか想像できませんね。
ただ、僕の言っているのは、あくまでも生活レベルを相対的に落としてしまうってことなんです。

中国が10だけ生活レベルをあげるのに対し、
日本は5程度レベルあげると言うことは可能だと思います。

そのためには、ゼロサムゲームではなく、シュンペーターの言うイノベーションを起こすことだけが日本が今よりも前に進むために必要なことだと思います。

ベタなことだけど、やっぱり、イノベーションが起きる環境整備(規制緩和)・風土作り(教育)
だけに専念して、日本政府には仕事をしてもらいたいですね。

せめて、他の国並みの環境にしてもらわないと、タダでさえ非力な国なのに
グローバル競争でまともに戦えません。

政治家同士の足の引っ張り合いなんてやってる場合じゃないですよ。