じゃあ、目を閉じて。体の力を抜いて楽にしてね…」
優しげな女性の声に葉月は安心して目を閉じた。
いよいよ催眠療法が始まっ た。
葉月たちのシェアハウスに高峰と彼の同居人である精神科医、リサ:ラーグが訪れたのは翌日のことだった。
彼女は人懐っこい笑顔と、軽快な喋りが魅力的な女性で、日本語が堪能な美人だったこともありレイと王子がすぐさま虜になっていた。
リサは笑いながら外野を追い払い、葉月、敦、高峰の3名の前で葉月に催眠療法を施し始めたのだ。
葉月は落ちていく。
ふわりふわりと、ゆっくりと落下していくのが分かった。
舞い降りたのは、白い砂浜。エメラルドグリーンの海。
いつもの無人島だった。
昨晩の夢のこともあり、葉月は一瞬嫌な動悸が走る。だが、落ち着いてゆっくり歩いていった。
砂浜に落ちている分厚い資料に目が留まる。
カエルム計画』の計画書…」
葉月は呟き、半分白い砂に埋もれているそれに手を伸ばした。
待って」
声がして葉月は振り返る。そこにいたのは、自分自身だった。
私?」
そう。記憶を失う前の葉月」
どうして止めるの?」
危険だから。あなたは重大な秘密を知った。カエルム計画』の全貌を」
うん。それを知りたいの。知らなきゃいけないの」
せっかく忘れたのに?」
どういうこと?」
教えてあげる」
過去の葉月が手を振ると、無人島の景色が一変する。
(あ…ここは船の中…)
葉月はもうおなじみになった、彩度の低いノイズ交じりの映像を見つめた。
船の格納庫。そこにびしょぬれになった葉月が横たわっていた。
しっかりしろ…!」
おぼれたところを救助されたのだろうか。
葉月は意識を失っているようだが、息はしている。
今がチャンスです。お脫毛機價錢 願いします」
本当に宜しいのですか?」
ええ…」
葉月は顔の見えない二人の会話を聞きながら、うっすらと思い出す。
(そうだ…。歩くんに船から突き落とされてから…。私一度船に救助されたんだ…)
男は荷物から小瓶を取り出すと、葉月の腕に注射針を突き刺した。