先週金曜日 (8/17) ハンガリー中央銀行は、7月 23日に行われた政策決定会合の
議事録を公表した。 7月の政策決定会合では、政策金利である 2週間の預金金利を
7.75 % に据え置いたが、今回政策決定会合に参加した委員 10名のうち 1名
( バンフィ理事 ) が 25 bp の利下げを提唱。 シモール・ハンガリー中銀総裁を含む
残り 9名の理事が据え置きを主張している。
政策金利を据え置いた理由として、同国 6月の CPI が年率 + 8.6 % と、5月の
+ 8.5 % から悪化し、本格的な低下を示していないこと。 また一部理事の中で、商品価格
(穀物価格) と食品価格そのものの上昇で、多数の新興国のインフレが将来悪化する
可能性があること。 さらに労働市場で失業率の低下と大幅な賃上げが見受けられること
などから なお一層の検証が必要とし、政策金利は据え置きとなった。
ただ現行の経済環境からすれば政策金利は満足のいく水準にあり、将来予測される大幅な
年率ベースでの CPI 低下とともに政策金利は引き下げ方向にあることを確認。 労働市場に
不透明感が残るため、賃金が価格転嫁されるインフレ・リスクが大きくないと証明されれば、
段階的かつ慎重に利下げが実施されることになりそうだ。
また早急な利下げは自国通貨であるフォリント安を招く恐れがあることや、ハンガリーの
政策金利が急低下した場合、それに対して金融市場に緩和期待が大きくなり過ぎると
思われること。 各新興諸国金融資産が急速に上昇したことで、将来下落に転じる可能性を
指摘する意見もあり、今後の金融緩和措置は当初予測されていた以上に慎重に対応が
採られることになりそうだ。
一方ハンガリー政府は 2008年会計年度の 財政支出見通しを非公式ながら公表。
財務省によると 公務員削減と支出削減で、2007年度の支出総額と比べ約 3.0 % の削減を
達成する見通しとしている。
ハンガリーは昨年実施した一連の構造改革が今年に入り功を奏し始め、昨年対 GDP 比
9.2 % まで上昇した財政赤字は今年 6.4 % にまで減少する見通し。 また2008年度の
財政赤字は 4.3 % になると見られている。
金曜日のハンガリー金融市場は、他の新興国金融市場と同様米国連銀の緊急利下げを好感し、
やっと反転。 フォリントは対ドル・ユーロともに急回復し、対ユーロで 262.00 から 258.00 まで
上昇。 そのまま一日の高値で一週間を終了している。
ただハンガリー債券市場は為替の動きについて行けず、終日足取りの重い展開。 先週一週間
急落となった後遺症が残り、2年 10年債とも前日比 2.0 bp 上昇し、一週間での安値引けとなった。
米 ド ル/対 円: 114.15円 + 0.45 02年国債: 7.38 % + 2.0 bp
フォリント/対 円: 0.598円 + 0.010 10年国債: 7.02 % + 2.0 bp
米ドル/フォリント: HUF 191.10 + 2.300 原油価格: $ 71.98 + 0.98ドル
ユーロ/フォリント: HUF 257.75 + 2.000 金価格: $666.80 + 8.80ドル