昨日のハンガリーは朝一番に、今後の同国金融政策を左右する経済指標の一つである、

5月賃金上昇率が発表になった。

5 賃金上昇率 (グロス) + 1.6 % (MM) / + 7.4 % (YY) ( 4 – 0.3 % / + 8.4 % )

5月の賃金上昇率 (ネット) は、年率で + 7.4 % と、4 + 8.4 % 3 + 8.4 % 2ヶ月

連続高水準を記録したあと下落。 市場予測であった + 8.0 % をも下回る落ち着いた動きと

なった。 その内訳は民間部門の賃金上昇が、年率 + 11.1 % 3月の + 12.2 % から低下。

一方公務員部門は穏やかな伸びとなっているものの、3月の + 0.6 % から、4月は + 2.9 %

へと上昇している。

このように低下した賃金上昇から、来週 7 23 () に開催されるハンガリー国立銀行

政策決定会合で更なる利下げの期待も出ているが、すでに発表になった 6月の CPI が年率

+ 8.6 % と、なお高止まりしていることから、今月の政策決定は据え置きとなる公算が高いようだ。

現在 14名のエコノミストのうち、7.75 % の金利据え置きを予測している者が 13名。 

残り 1名が25 bp 引き下げ、7.50 % を見込んでいる。

この数値発表後、カルバリツ・ハンガリー中銀副総裁は、「 今後インフレが低下していくことから、

ハンガリー国立銀行は徐々に金利引き下げを実施して行く  と発言。 「 6月の CPI + 8.6 %

は、ほぼ想定内の数値であり、度重なる公共料金や税金引き上げの影響で、前年比ベースの

CPI は急上昇したが、この特殊要因が無くなる 9月ごろからハンガリーのインフレは劇的に

下がって行くであろう 」と述べている。

また  6月に政策金利を 25 bp 引き下げ 7.75 % へと導いたのは、フォリント高が進んで

いたこと。 さらに国内債券市場が非常にしっかりとした推移を辿っていたことで、利下げに

踏み切った  とし、「 これは決して予想外の利下げではなく、そこに利下げを実施する事実が

あったため  とハンガリー金融市場を精査し、その結果金融緩和策をとったとしている。

ただ一点だけ反省点があったという。  金融緩和に対する全ての環境が整っていたと見ていた

ものの、唯一賃金上昇率が高止まっていたことが間違っていた。 今後各リスクとの

コミュニケーションをより密にした政策運営を採りたい 」 と述べたものの、「 金融当局の政策

決定は正しい決断を下している」と、現在の金融政策の舵取りの正当性を主張した。


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