7月 任期満了で 2人のハンガリー国立銀行副総裁が退任するが、その後任として挙がって
いるキラリー副総裁候補 (首相、大統領の承認は下りており、あとは議会承認を残すのみ) が、
雑誌社とのインタビューでコメント。 「ハンガリー国立銀行はインフレを防御することによって
信頼性を得ながらも、経済成長を考慮した金融政策を考えなければならない」とし、「中銀の
最終目標はインフレだけではなく、経済成長や競争力にも眼を向ける柔軟性に富んだ
金融政策が必要ではないか」と述べた。
これは昨年増税の影響でインフレが 9.0 % まで上昇。 同中銀の中期的インフレ・
ターゲットが + 3.0 % にもかかわらず、それに近づけようと政策金利を 8.0 % にまで
引き上げたのは同国経済にとって大きな圧力となってしまった。 このような増税による
インフレ上昇という例外的な現象に対して、中銀はより柔軟性のある金融政策で対処する
べきではなかったのかと、暗にヤライ前中銀総裁の手法を批判するような内容となっている。
キラリー新副総裁候補は、以前からの発言において、その内容にハト派的言い回しが多く、
現シモール総裁も含め、「今後ハンガリー国立銀行の金融政策運用スタンスが景気重視の
方向になるのでは」 との意見が多い。 同時にキラリー副総裁候補は、「過去の金利設定に
おいて、政策決定メンバーにおけるハト派とタカ派との意見の一致にセンスがない」 と
皮肉にも近いコメントを出している。
いずれにせよ 7月から政策決定メンバーの一人となるが、利下げ支持派にとっては好都合の
人選となるかもしれない。
一方ハンガリーの政局では、連立を組んでいる自由民主連盟 (SZDSZ) から、「構造改革の
スピードが遅すぎる」とクレームを持ちかけられていた社会党 (MSZP) は、現在国営管理
されている国民健康保険システムを地域に分散かつ民営化し、効率化を図ることを提案。
これにより老朽化した組織の再構築と保険料収入の再運用化およびコスト削減が図れると
している。 この法改正は今年秋口に議会提出。 運営は来年からを目指しているという。
これに対し自由民主連盟は、「時間がかかったものの この改正案には満足するものが
ある」 と評価。当面の課題であった連立政権解消の危機は、回避できるようだ。
昨日のハンガリー債券市場、市場の落ち着きから一昨日の新興市場で売り込まれた分を
取り戻し、2年債は 5.0 bp もの金利低下の 7.14 %。
フォリントも対ユーロで 251.75と高値で引けている。
米 ド ル/対 円: 123.00円 + 0.45 02年国債: 7.14 % - 5.0 bp
フォリント/対 円: 0.651円 + 0.006 10年国債: 6.85 % - 3.0 bp
米ドル/フォリント: HUF 189.05 + 1.450 原油価格: $ 67.65 + 1.39ドル
ユーロ/フォリント: HUF 251.70 + 1.450 金価格: $655.90 + 3.20ドル