二日目 こんにちはおじさん


意外と2日目を書きたくなった自分に驚いている。

といっても、今日の寝起きはそこまで気持ちよかったというものでもなく

尿意で目が覚め、よし二度寝と思ったが寝付けず、

ベットの中で春とヒコーキのコラムを読むことから1日が始まった。

「これじゃあまたブルーな1日の始まりかよ」と心の中で思いながら、

旦那さんの起床と共に重い体を起こし、朝食作り。

洗濯機をまわして、コーヒーでも淹れ手一息つくかと携帯を開き、

「さあさてまた春とヒコーキのコラムを読むか」と思ったときに

ふと、前回実家から帰ってくるとき渡されたラディッシュ栽培キットに目が入った。

いつまでも置いとくだけもなあとでも思っていたのか、

特に何も考えずに、6階のマンション一室で都心農業に初チャレンジのドアが開いた。


元々実家が農家だった私だが、一人暮らしをしていた時も

結婚して都内で暮らししている今も、なんだかマンションの6階では

「何かを栽培したい」という機になれなかった。

実家が農家だけど子どもの頃は大して農業の手伝いをしていないのが

主に私たち世代だと持論しているが、

両親どちらも働きに行っていたせいもあったからか

祖父母と生活を共にする時間が多かったからか、

農業=手伝いではなく農業=遊びだと感じていたため、

コロナ禍で一人暮らしをやめ、実家でテレワークをしていた時期も

気分転換に農業を進んでやっていた。

テレワークで出勤ボタンを押す1時間前には畑に行き、

育てている野菜を見に、また手入れしに行くくらいだから

同年代で同じように実家農家勢でかつ女性でも、

自分は結構な農業好きだろうと感じている。

今は賃貸マンション住まいだが、一戸建てを購入する際は

願わくば、畑も欲しいと旦那さんに伝えているくらいなのだから。

そんな農業(緑、自然)好きな私でも都内のマンション6階に住むと、

貰ってきた栽培キットを貰った次の日早朝から心躍らせて栽培に勤しむこともなく

1か月放置してしまうのが都心に暮らしている人間の性なのか、と考えてしまった。

しかし今日、忘れかけていた栽培キットを取り出し

指輪をつけている手に手袋なんてつけることもなくただひたすらに土をいじっていると

ブルーに感じてた1日のはじまりが少し違って見えてきた。

そしてその後、旦那さんを見送り、

自分はお散歩、洗濯を済ませたあと、

いつもなら冷蔵庫を掃除するかの如く始めてしまう暴食も腹10.5分目で満足し、

本日2回目のお散歩途中のベンチで今執筆ができている。


「今まで左に曲がってた道を右に曲がってみよう」

頭の片隅で少しだけそんなことを考えながら、でも心が行きたい方に歩みを走らせ、

耳には春とヒコーキのグピグパグポラジオを聴く。

あてもなく知らない道を歩くのに怖さもあったが、いつも曲がらない道を逆にいくと

ちょうど良いお散歩コースを発見した。

「何よ。もうここに一年以上住んでいるのに、ちょっと歩けばこんなに良い

お散歩コースがあったなんて」

心でそう呟きながら、まだ午前中なのに本日2回目のお散歩にipadを肩から下げる。

まだ木々は緑で生い茂っているが、時より吹く風にカラカラと転げる落ち葉。

「そうか、もう10月も中旬か」

と思いながらの公園には、昼食をとる作業員、太極拳をしているおじさん、

そして元気な声で「こんにちは!!!」と自転車に乗りながら笑顔を振り撒く

こんにちはおじさんがいる。

6階のマンションからでは感じれない世界を思い出した今日、

今年初めて金木犀の香りを嗅いだ。