何年か前の話だが、土佐山田町のおばさんが山を降りた時の話
その人は「はちきん」さん
言いたい事をハッキリ言う
何も怖いものがないようなおばさん
土佐山田町は、なかなか活気のある町だが、ちょっと離れると山間部に家がチラホラある
おばさんは、山間に独りで暮らしていた
おばさんの家の隣の山にも、やっぱり同じ年位の女性が暮らしていた
二軒の家は、お互いに遠くから姿は見えるが声は聞こえない位置にあった
ある日、土佐山田町内のスーパーでたまたま二人が顔を合わせた
世間話をしていたら、向かい合わせの家の女性が、何気なく一言言った
「あんたえらいねぇ、
毎晩毎晩、あんたが炊事しよっても風呂入りよっても、ずっとあんたの後ろにヒトダマやら一つ目小僧やら、何やらわからん物がいっぱいおる
私やったら怖いけん、とうの昔に山を降りちゅうぞね」
それからすぐ、おばさんは山を降りた
今は土佐山田町の賑やかな所で暮らしてる
おばさんは言っていた
「早よう言うてくれんかよ
怖いにそんな所にいつまでもおれるかよ」