家族の揺れる心
在宅医療における終末期ケアでは、家族の心の揺れが大きな課題となります。
先日、在宅医の看護師さんから以下のような言葉をかけられました。
「状態が悪くなっていることはご家族も察しているよね。
退院の時にお看取りと決めてご自宅に帰ってきてるから、救急車を呼ぶなんてことはないよね。状態が悪くなっていることを、
わざわざ伝えなくてもいいんじゃないの。」
この言葉を聞いた時、私は違うのではないかと感じました。
家族の心は常に揺れ動いています。
病気の回復が見込めず、寿命であると理解し、お看取りをしようと決めたにもかかわらず、
どうにかして助けたいという思いが先立ち、救急車を呼んでしまうケースがあります。
現実の壁
家族が救急車を呼ぶ理由は単純ではありません。
例えば、家族が患者の状態が急変した際、何とかして助けたいという感情が強くなり、適切な判断ができなくなることが多いです。
このような時に、息が止まっていたら警察が入るという事態を避けるためにも、
何度も家族に状況を説明し、理解を深めてもらう必要があります。
家族が揺れ動く心を抱えながらも、
正しい判断ができるようにするためには、医療従事者からの繰り返しの説明とサポートが不可欠です。
たとえ状態が悪化していることを伝えるのが辛いとしても、
家族が適切な判断をするためには必要な情報を提供し続けることが重要です。
まとめ
在宅でのお見取りを進める上で、家族の心の揺れを理解し、
その揺れを支えるためのサポート体制を強化することが大切です。
医療従事者は、家族が冷静に状況を判断できるようにするための情報提供とサポートを惜しまないように心掛けるべきです。
私たちが目指すべきは、
家族と共に患者が尊厳を持って最期を迎えることができる環境の整備です。
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