久々にフンメルの新譜紹介。
マティアス・キルシュネライト 、 ミヒャエル・ザンデルリンク 、 フランクフルト放送交響楽団
今回はフンメルの楽曲の中でも、もっとも有名かつ人気のあるピアノ協奏曲イ短調,Op.85とともに、ウェーバー、メンデルスゾーンのピアノと管弦楽の作品集です。
フンメルのピアノ協奏曲は第1番から第5番までが生前出版されたので番号が振られていますが、その他3曲の協奏曲と小協奏曲があり、これらには番号が振られていませんので、9曲あることとなります。
それ以外にも二重協奏曲やロンド・変奏曲・幻想曲などがあり、ピアノと管弦楽の作品としては17曲あることとなります。
その中でも「ピアノ協奏曲 第3番ロ短調,Op.89」と並んで最も有名かつ人気のあるのが
今回の「ピアノ協奏曲 第2番イ短調,Op.85」でしょう。作曲年:1816年 出版年:1821年となっています。
録音も昔からたくさんありますが、
私が初めて聞いたのは1970年代後半にGalling(ガリング)のロマンティックピアノ協奏曲集に収録されていたもので、この時にチェルニーやリース、フィールド、ヒラー、モシェレス、クラーマーなどの古典派からロマン派の埋もれていた作曲家たちを知るきっかけとなりました。この時点では知らずに、後に知りましたがフンメルの協奏曲はオーケストラ部を含めてかなりの部分がカットされた演奏でした。
その後80年代に
チャン・ヘーウォン演奏を経て
このハフとイギリス室内管の演奏はそれまでのフンメルの印象を一変させるほどのインパクトがありました。
その後も他の協奏曲も含めてたくさんリリースそれていきこの分野のメジャーな楽曲となっていくわけですが、
近年では古楽器演奏のコッメッラートの演奏がリリースされていました。
今回のマティアス・キルシュネライト盤は フランクフルト放送交響楽団というメジャーなオケとの演奏で、録音も優秀です。演奏はハフ盤に近い性格ですが、テンポはややゆっくり目で、ハフ盤よりも早いパッセージ部分の音の粒がクリアーな美しい演奏です。
キルシュネライトはバンベルク交響楽団と組んだモーツァルトピアノ協奏曲全集でバランスの取れたくっきりした演奏が印象に残っており、今回の演奏も期待通りでありながらより円熟味を増した感想をもちました。
フンメルの一番最初に聞いてほしいCDにこれまではハフ盤のピアノ協奏曲を上げていましたが、これもかなりお勧めしたい。
とくに同時代に交流のあったウエーバーとメンデルスゾーンの演奏会用小協奏曲も聞けるため、フンメルと同時代ヴァルトォーゾの他の作曲家との聴き比べもできます。

