「おはようございます、Sです。今日も一日頑張ります!」

 

鏡に向かって、いつものように笑顔を作る。しかし、その笑顔の裏には、深い不安が渦巻いていた。

 

新入社員の私は、つい先日、大きなミスを犯してしまった。

取引先のA社の資料を、誤って別の会社のものと入れ替えてしまっていたのだ。

 

上司に相談すれば、きっとすぐに事態は収まるだろう。しかし、私は恐怖に駆られていた。もし、このミスが発覚すれば、せっかく入社したばかりの会社をクビになってしまうかもしれない。

 

それからというもの、私は毎晩のように悪夢にうなされ、寝不足の日々を送っていた。仕事中も、A社の担当者から連絡がくるのではないかと、ヒヤヒヤしっぱなしだ。

 

「Sさん、ちょっと話があるんだけど、時間ありますか?」

 

突然、A社の担当者が私のデスクの前に現れた。

心臓がバクバクと鳴り響く。ついに、この日が来たのか。

 

「あの、あの…少しだけお待ちいただけますか?」

 

私は、なんとか平静を装い、深呼吸をした。

そして、覚悟を決めて担当者のオフィスへと向かった。

 

「実はですね、先日お渡しした資料に誤りがありまして…」

 

私は、震える声で、正直にミスを打ち明けた。

すると、担当者は意外な反応を見せた。

 

「ああ、その件ですね。実は、私たちの方でも気づいていました。でも、Sさんの対応が丁寧だったので、特に問題はないと考えています。むしろ、すぐに正直に話してくれたことに感謝していますよ」

 

担当者の言葉に、私は驚きを隠せない。

私は、最悪の事態を覚悟していたのに、彼は寛大な態度を見せてくれたのだ。

 

「本当に申し訳ございませんでした。二度とこのようなミスは繰り返しません」

 

私は、頭を下げて謝罪した。担当者はにこやかに頷き、

 

「また一緒に仕事ができることを楽しみにしています」

と、励ましの言葉を掛けてくれた。

 

オフィスに戻った私は、安堵感と同時に、大きな反省を感じた。

自分のミスを隠そうとしたことは、誠実さを欠く行為だった。もし、このミスがもっと大きな問題に発展していたら、どうなっていただろうか。

 

今回の経験を通して、私は大切なことを学んだ。

それは、どんなミスを犯しても、正直にそれを認め、改善することが大切だということ。そして、周囲の人の助けを借りながら、共に成長していくことが大切だということ。

 

私は、この経験を糧に、これからも誠実に仕事に取り組んでいこうと決意した。

そして、いつか、本当に信頼される社員になれるよう、日々精進していくつもりだ。

 

新しい朝が来た。

私は、昨日までの自分とは少し違う、新しい自分になった気がした。