<相続税申告における固定資産税等の取扱い>前回の続き
相続における遺産分割での注意点について書きたいと思います。
賃貸物件にかかる固定資産税等については、賃貸物件を相続した人の確定申告において
通常、不動産所得の経費として取り扱われることとなります。
ただし、ここで気を付けなければならないことがあります。
それは、賃貸物件を相続した人が賃貸物件にかかる固定資産税等について債務控除を受けているかどうかです。(遺産分割において債務を負担することとなっている)
所得税における必要経費については、実際に支出した債務が原則として費用として取り扱われることとなります。したがって他の相続人に固定資産税等を負担してもらっている場合には所得税において費用として取り扱われないこととなります。
実務では、ある一人の相続人が他の相続人の固定資産税等を負担したいというケースが多々見受けられるので、注意が必要となるでしょう。
ただ、遺産分割において固定資産税等を他の相続人に負担させることとしてしまったとしても取り返しはつきます。
その方法は、その負担してもらった金額について他の相続人への未払金としてしまうこと。
(つまりお金を他の相続人に貸してもらい、払いましたとしてしまうこと)
金銭消費貸借契約を後日つくることで、経費として取り扱ってしまいましょう。
この方法が有効だと思うのは、親子関係などなぁなぁで済ますことができる範囲内だと思います。
金消を結ぶということは、お金の精算が必要となりますので、例えば兄弟でやろうとすると相手方に断られるケースもありますので、ご注意ください。
<所得税における固定資産税等の取扱い>
所得税の費用の考え方は、発生主義において費用を認識します。
相続の取扱いと違うところは、費用を認識する基準として金額が不明確なものについては費用とすることができないという点にあります。
したがって、納税義務が先行して確定する固定資産税については、納税通知書が届くまでは納付すべき金額が不明確となるため、そのまでの間は費用として認識することができなくなります。
ここまでで疑問をもたれた方がいらっしゃると思います。
それは暦年課税なのに、納税額が決まらないケースがあるの?という疑問だと思います。
確かに固定資産税は6月頃に納税額が決まりますので、納税額が決まらないことはないと思います。
問題となるのは、被相続人の準確定申告での取扱いです。
準確定申告は、1月1日から死亡の日までが課税期間となりますから、納税額が確定する前に所得税の計算をするケースが出てきます。