Watchmen:アラン・ムーア原作のアメリカン・コミックで、
その一節に登場するロールシャッハというキャラクターの
物語についての解説を聴いて非常に興味深かったので、以
下にその内容を書いてみます。
彼はダークヒーローというよりは、むしろ腕っぷしの強い
殺し屋なんだそうですが、ついに警察に捕まり、「こいつ
は頭がおかしいに違いない。」ということで、「殺人」と
いう異常行動について精神鑑定を受けることになる。精神
科医がロールシャッハテストをしてみると、彼は、その模
様が「過去に殺したシェパードの裂けた脳に見える。」と
言う。このテストは、紙に付けた左右対称なインクの染み
から何を連想するかを質問するもので、連想したものから
その人格を精神分析をしていく方法です。本来は蝶々や人
の顔に見えたりするのが一般的なようです。では、なぜ彼
はそんな回答をしたのか?実は以前に6歳の女の子が何者
かに誘拐され、その親に頼まれて女の子を助けに行くとい
うエピソードがそのきっかけとなっています。
誘拐犯の自宅を突き止め、忍びこんでみると、2匹のシェ
パードが骨を奪い合って格闘している。その犬たちを避け
て室内に侵入すると、そこに人影はなく大きな刃物やノコ
ギリが散乱していた。そこへ犯人が帰って来る。ロールシ
ャッハはその容疑者を捕まえ吊り上げて、女の子の事を白
状させる。すると、犯人は「誘拐した6歳の女の子はナタ
やノコギリでバラバラに刻んで、犬に与えた。」と衝撃の
自供をする。
あの犬たちの取り合っていた骨が、その女の子の骨だった
とは・・・
そこで、ロールシャッハはその犯人を罰するため、警察に
突き出すのではなく、その男の腕に手錠をかけ、部屋に灯
油をまいて火を放つ。そしてその男にノコギリを渡す。
「言っておくが、このノコギリで金属は切れないから、
手錠を切ろうなんて考えるなよ。」
次第に周りからパチパチと音がしてきて火が燃え広がって
いく。ロールシャッハはその犯人に死にたくなかったら、
自分で自分の腕を切断して逃げろというのだ。犯人は
「何言ってんだ。」と言いながら、火の中に取り残される。
それをロールシャッハは家外からじっと見ている。
やがて家から上へ上へと煙が立ちのぼり、だんだんと肉の
焦げた臭いがしてくる。結局、家の中からは誰も逃げては
来なかった。ロールシャッハは立ちのぼる煙を見上げなが
らじっと考え、こうつぶやく。
「あののぼっていく先の雲の上には何もない。」
「あののぼっていく雲の先には神様なんていない。」
「この世の中に意味なんてない。」
「人間には運命なんてない。」
「あの女の子は殺される運命でもなければ、犬の餌となる
運命でもない。」
「犯人もなぜそんなことしたのかということに理由なんて
ない。」
「犯人を警察に突き出して精神鑑定し、その犯行の心理
など調べても意味なんてない。」