キラキラ煌めく川面が

この皐月の陽光で

時にフラッシュの様に目に刺さる。

 

川は表面は穏やかに流れているが

あの、底の方はどんな感じなのだろう?

 

きっと

黒い渦が幾重にも

蠢いているに違いない。

 

それはあらゆる方角から

手を差し伸べ

やがて底深く引き込んでいく。

 

大きなため息を一つ付いた。

 

座って居た土手から立ち上がり

尻に付いた草を払いながら

俺はトボトボと老人の様に歩き出す。

 

歩きながら

ふと、由季の墓前に行った事を思出した。

 

線香を挙げて

手を合わせると

どこからか、音が聞こえた。

 

それは最初は

ひどくぼんやりしていたが

やがて声の姿を帯びてきて

はっきりと聞こえるようになった。

 

「・・・突然いなくなってごめんね」

 

「私、我儘だよね」

 

「ごめんなさい・・・」

 

「でもね。私、思うんだ」

 

「瓶汰なら私が居なくても」

 

「きっと頑張れる」

 

「きっと、頑張って生きていける」

 

「だって」

 

「だって、瓶汰は強くて優しいもの」

 

ジッと墓石を見つめる。

 

「・・・俺は強くなんて無い」

 

「事実、こうして立ち直れないでいる」

 

暫くして

ゆっくりと腰を上げる。

 

その時

強い風が吹き始めた。

 

辺りが暗くなり始めた。

 

空を見上げた。

 

ただただ

薄黒い雲が覆っていた。

 

歩き出したが

また音がしたようで立ち止まった。

 

足首に何か当たったようだ。

 

視線を足元に向ける。

 

そこには

冷たい風に舞う

枯葉がコツコツと音を立てて

やがて去って行った。