(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)



第39話 仕事の集中力


志保子にとっての2日目の朝。

朝のニュース番組を見ながらこんがりと焼けた
トーストとブラックコーヒーをとる。

いつも急いでいるので、味わう余裕なんてない。

(もうこんな時間。早く行かなきゃ。)

彼女は黒いシックなパンツスーツを着て家を出た。

通勤は地下鉄だが、通勤ラッシュは苦手だ。
あまりの人の多さにどっと疲れる。

定時の出勤時間の30分前にオフィスに着いた
彼女は、掃除をしながらみんなを待った。


すると、そこへオーリーが現れた。

桜井:「おはよう。あれ?黒い服着て、
今日は葬式でもあるのかな?」

彼はからかって言った。


志保子:「おはようございます。葬式って・・・」

桜井:「冗談冗談。」

志保子:「はは。」


彼女は思わず笑わった。


オーリーの余裕の笑み。
この人の自信はどこからくるのだろう?

笑いながらそう考えていると、そんな志保子を
無視するかのように、オーリーは、ラジカセにCDを
入れてスイッチを押した。

数秒後、波の音が聞こえてきた。


桜井:「今日は、オフィスワークがメインだから、
集中モードに入るために、これを流すんだよ。」


彼は、志保子の頭の上に“ピコン”とついた疑問符を
見つけて続けて言った。


桜井:「波の音とか雨の音とか川のせせらぎの音とか、
環境音楽は、集中力がアップするんだって。」

志保子:「そうなんですか?」

桜井:「NHKの番組で、実験でやってたんだよ。
工場でひたすら製品を組み立てる単純作業をする際、
環境音楽を流しているのと流していないのとでは、
明らかに流している方が生産性が上がったんだ。」


志保子:「音楽とかじゃあいけないんですか?」


桜井:「音楽は好きな曲だとついつい聴いてしまったり、
曲調によっては、変なムードを作ってしまったりするからね。
お店のBGMみたいに仕事によっては逆にいいんだろうけど。」


志保子:「前のオフィスでは、音楽なんてまったくなかったですよ。」


続く・・・・・・・


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第38話 ありのままの自分


セミナーの次の日、松本はハローワークに来ていた。

もちろん、仕事を探すために・・・だ。

真実が見えるメガネを手に入れた松本は、

セミナー受講後、ひどく落ち込んだ。

客観的に自分が見えてしまったからだ。

 

ありのままの自分・・・。

 

心を閉ざし、

付き合いたい人とだけ付き合い、

自分の存在を認めてくれない人を遠ざけ、

社会からも孤立し、

自立すらしていない。

 
 

今までそんな自分から目を背けていたのかもしれないな。

松本はそう思った。

 

しかし、セミナーでの浅井の言葉が、彼を勇気づけた。

 

 

浅井:「客観視で自分を見ると、ときに弱い自分と

向き合うことになりますが、どうかありのままの

自分を責めることなく認めてあげてください

 

人間、誰もが弱い部分を持っています。

弱い部分は、少しずつ強くしていったらいい

じゃないですか。

 

大事なのは、ありのままの自分を受け入れ、

認めてあげること。そして、自分を育んでいくこと。

 

自分で自分の“親”になったつもりで、大切な

"自分”を守り、育んでいってください。」

 

ニートの自分。社会に反発してきた自分。
今まで、そうやって自分を守ってきたんだな。

 
でも、今日からは違う方法で自分を守っていこう。
 

その日、松本はある会社の面接を申し込んだ。

 

続く・・・・・・





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第37話 美容室



火曜日になり、桜が店長をしている美容室

“アクティブ”は、いつになく客でごった返して

いた。


「客観視」


新たな武器を手に入れた桜は、

真実のメガネを手に入れるセミナーの講師の

最後の言葉を忘れなかった。


真実は見ようとしないと見えないんですよ。

なぜなら、人は、自分の勝手な思い込みに

無意識のうちに支配されているんですから。

だから、人は、自分の本当の問題に気が

つかなかったり、人間関係では人のせいに

したりするんです。」


桜は、今まで部下との関係が悪いのを、

全部部下のせいにしてきた。


しかし、講師にそう言われて、うすうす気づい

ていた自分の意固地さをはっきりと思い知ら

された気がした


(わかってるんだけど・・・ね。)



これからは、真実を見てみよう。

ありのままの真実を受け入れよう。


一晩、考えた結果、彼女は3つのことを

実行に移すことに決めた。


一つは、部下の話を徹底的に聞くこと

いつもは途中で話をさえぎったり、自分で

結論を出してしまったりしていたが、最後まで

徹底的に聞こうと決心した。


二つめは、部下に対して、自分の弱い部分を

隠そうとしないこと。今まで部下の手前、強がったり

ミスを隠したりすることがあったが、一切それを

やめようと決めた。


三つめは、今まで“売り上げ”を最重要視して

きたが、顧客満足とスタッフ満足を最重要視する

ことに決めた。


1年後、美容室アクティブは、グループの中でも、

トップクラスの売り上げを記録することになる。


もちろん、客観視ができるようになっただけで

このような偉業は達成できないのだが、後に

彼女はこう言ってる・・・。


桜:「ありのままの現状を受け入れることが

できたことが私が変われたきっかけでした。」



続く・・・・・・