(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)


第117話 エリートの疑問


「斉藤さん、武くんのことなら、私が相談に
のることになりましたので、心配には及びませんよ。」

涼子は、注意深く浅井を観察した。

無精ひげを生やし、ゆるんだネクタイの結び目から
見える、Yシャツのはずれた第一ボタン。
一見、仕事ができそうな男には見えない。


「と言いますと?」

「さっき1時間くらい前に、武さんとお話して、
前向きにチャレンジしてみるってことになったんです。
ね?武さん。」

武は、黙ってうなづいた。

(施設NO.1の就職率の私ですら、
何回話してもダメだったのに、いったいなにが
あったのかしら。)

涼子は、あごを人差し指でさわった。
それは、わけがわからないことに遭遇した
ときのクセなのだ。

「・・・それはよかったです。武くん。
がんばってね。」

そう言いながら、涼子は、仕事が楽しくなるコンサル
タントを名乗る怪しい男に興味を引かれるのを止める
ことはできなかった。

そうなると、涼子の出る幕はない。
間もなく武の家を後にした。


それから、数日後・・・・・・

涼子は、浅井の名刺を取り出し、どうしても
武に何が起きたのか知りたくて、電話の受話器を
にぎった。

続く・・・・・・