第71話 聞くスタンス



僕は威厳を取り戻すべく、下がり気味になっていた

メガネを中指で上げ、彼女の目を正面から見つめた。


「実は、今からするよろいの話は、人間の性質だとか

育ってきた環境だとかに、深い関係があります

ですので、少々自分の痛いところを見てしまうことがあるんです。」


「痛いところ・・・。」


言いながら、彼女は少し痛そうな顔をした。


「そんな場合でも、自分を被害者みたいに思ったり、

自己否定したり、他人を責めたりしないで欲しいの

です。

たとえ今はそうでも、これから人生が右上がりに

よくなっていくためにどうするか、という話もきちん

としますので、『今は多少悪くても、これからは

どんどん良くなっていくんだ』というスタンスで

聞いて頂きたいのです。」


「なんか怖いですね。」


「敵を知らないから怖いんですよ。知れば対処法が

わかるし、怖くなくなります。」


「わかりました。お願いします。」


「はい。それではよろいの話に行きましょう。

まず、周りの人で思い出してほしいのですが、

人間、傷つきやすいセンシティブな人と、何を

言われても傷つかない面の皮の厚い人

いますよね? 具体的に誰か思い浮かびますか?」


「前者は私かな。後者は・・綾香かな。

やだ。なんか悪口言ってるみたい。」


「ああ(笑)。でも今は気にしないで。現実を

客観的に見つめるという作業をしているだけ

なので、悪口とは思わないでください。」


「はい。」


「傷つきやすい水島さんと傷つかない綾香さん、いったいどこが違うのでしょう?」


続く・・・・・・