(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)


第56話 ビックリ箱


すると志保子は、浅井の気持ちを察したかの
ようにやさしく言った。


志保子:「でも、所長。だんだん大きな話に
なってしまいましたが、検定試験の話は、
あくまでもうまくいったらの話です。
とりあえず、所長のメソッドを“通信講座”
というカタチにして、世の中に広めていく
ことが大切だと思います。」


志保子は、壮大なプランを、浅井が現実的に
考えられるレベルに落として、浅井の不安を解消した。

この子は、俺の気持ちを読みながら話を
進めている・・・
浅井は、一本とられたなと思いながら先を促した。


浅井:「通信講座か・・・。具体的には?」


志保子:「まずは通学講座を開くんです。」


今日の彼女はどうしたんだろう。
まるで彼女と話すたびに、ビックリ箱を開けている気分だ。


浅井:「それはどういうことかな?」


志保子:「まずは実績作りのために、
通学講座を開くんです。そして、その様子
をビデオに撮って、講義DVDを作ります。」

浅井:「なるほど。」

志保子:「通信教育の場合、テキストだけ
より、講義DVDがあった方が、より正確
に伝わるし、わかりやすくなりますよね?」

浅井:「うんそうだね。より臨場感も出るし・・・。」

志保子:「それに、動画の解説があった
方が、受講生の満足度も高まるんです。」

浅井:「なるほど。」

志保子:「あと、先に通学講座をやって、
その後に通信講座を作るという順番で
やると、販売までのスケジュールが
短縮できるんです。」

浅井:「通学講座は後伸ばしにできないからね。」


志保子:「はい!それに、その順番だと、
通信講座の教材を作る際も、コンテンツ
流れがすでにできているので、あとは
それをテキストやDVDのカタチにすれば
いいだけだから効率的にできるんですよ。」

浅井:「つまり、通学講座の内容を教材に
落とすだけ・・・。そういうことだね?」

志保子:「そのとおりです!」


確かに彼女の言うやり方で講座作りを
進めれば、短期間でいいものができるだろう。浅井は、舌を巻いた。

志保子:「今まで聞いて頂いたのが私の
提案です。内容については、いかがでしょうか?」

浅井:「ビックリしたよ。想像以上に
良かった。俺が考えていたプランが
素人考えだったことがわかった。」

志保子:「ありがとうございます。
では、内容についてはだいたいOKということでよろしいですか?」

浅井:「申し分なし!」


志保子はほっとした。しかし、

(プレゼンは、ほんの小さなほころびから
一気にひっくり返るから、相手の最終的な
合意が得られるまでは絶対油断するな。)

という拓郎の言葉を思い出し、再び気を引き締めた。いよいよ大詰めだ。


志保子:「ありがとうございます。では、次に・・・」



続く・・・・・・