(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)



第17話 嫌われ役



涼子:「何かあったんですか?」


桜:「実は・・・、私・・・、お店で完全に孤立してしまったんです。」


テーブルの上のティーカップを見つめて静かに言った。


涼子:「孤立・・・」


桜:「はい。副店長は、みんな仲がいいことが一番だって、

部下に叱ったりしないんです。教育は任せているのに・・・。」


涼子:「なるほど。部下はどんな感じです?」


桜:「社長にも他店と比べて部下教育ができてないって言われるほど、

言葉遣いは悪いし、私語も多いし、統制がとれてない感じです。」


涼子:「なるほど。店長としては、何とかしないと、って感じかな?


桜:「はい。だから、せめて私だけでも厳しく、と思って、叱ったり、

ことあるごとに注意したり、緊張感持たせたりいろいろしてみたんですけど・・・」


涼子:「けど?」


桜:「先日、私の公休日にお店を覗いてみると、私がいないと、

副店長と他のスタッフたちで楽しそうにわきあいあいと仕事してるんです・・・」


涼子:「みんなが楽しそうなのを見て、どう感じました?」


桜:「・・・正直言ってさみしかったです。」


涼子は、消え入りそうな声の桜にやさしく言った。


涼子:「さみしかったんだ・・・。桜さんもほんとはみんなと

仲良くしたいんですよね?でも立場上、嫌われ役を

せざるをえなかった・・・」



桜:「・・・」


桜は黙ってうなずいた。


涼子はうなだれる桜の左手をやさしく握って言った。


涼子:「あなたは当然のことをしたのよ。

ただ、ちょっとやり方を間違えただけ。大丈夫!

やり方さえわかれば、部下もついてくるし、あなたも楽しくなるわ!」


涼子は、桜の目をまっすぐに見て言った。


涼子:「ちょうど午後からうちが主催してやるセミナーが

あるの。内容も今の桜さんにピッタリだし、無料だから

受けてみない?」



続く・・・・




◆今回の小説の解説ブログ→ 「仕事が楽しくなる人間学