(はじめてこのブログをご覧になる方は、第1話 よりお読みください。)



第12話 カブリモノ



愛:「白衣を着るのは、気持ちをドクターモードにするためなんです。」


志保子:「ドクターモード。」


愛:「ええ。私たちカウンセラーやコンサルタントは、職業柄、

特に高いセルフイメージが要求されるんです。

なぜなら、クライアントの性格や相談内容によっては、

暴言によって傷つけられたり、かわいそうな話に感情的に

流されそうになったりすることがあるから。」


志保子:「いろいろな人がいますもんね。」


愛:「だから、医者の先生のように、共感しながらも

常に冷静に、適切な対応ができるように、

ドクターモードに入るんです。」


「医者」という言葉を聴いた瞬間、志保子の頭に、

(白衣を着たときの感じを覚えておいて。)

という愛の言葉が浮かんできた。



志保子:「あ!私が白衣を着たとき落ち着かなかったのは、

お医者さんが着る白衣を着ることに違和感を感じていたから

ですね?」


愛:「そのとおり!イメージって面白いですよね。言わなくても、

白衣イコール医者の先生って無意識に浮かんでくるんだから。」


志保子:「ほんと。」


愛:「もう一つ面白いのは、逆に、白衣を着るのに慣れていくと、

振る舞いがだんだんそれらしくなってくるんですよ。」


志保子:「女の子が、着物を着たらおしとやかになるように・・・

ですね?」


愛:「そう!お笑い芸人もそうよね。お笑いの人がカブリモノを

かぶっているとき、そのキャラになりきってる。

まるで自分のイメージを一瞬にして変えるスイッチみたい。」


志保子:「面白いですね!こちらでは、それを仕事に役立つ

よう応用してるんだ。」


愛:「このオフィスでは、全てのことが、仕事が楽しくできる

ように考えられているの。」


志保子:「そんな職場ばかりだったらいいのに・・・」


志保子は、前の職場を思い出して目をふせながら言った。



愛:「うん。そう言う人は多いかな。でも、環境だけの問題じゃ

ないんですよ、仕事が楽しくなるのは・・・。ここのオフィスの

もっとも特徴的なところは・・・」



続く・・・