最近、ふとした拍子に自宅の本棚をしげしげと見つめる時間が増えた。
別に引っ越しでもするわけじゃないし、断捨離に目覚めたわけでもない。
ただ、なんかこう……“棚の向こう側”が気になったのだ。
で、思った。
「これ……全部、読んだか?」
いや、けっこう読んだぞ? 読んだ気はする。読もうとした記憶もある。開いた覚えも、ある……気がする。
問題はここからだ。
最初に読み始めて、「おや、これはちょっと違うな」と思った瞬間、すぐにブックマークを挟んで放置。
専門書にいたっては、「今ここが必要!」とピンポイントで1ページ読んで満足。
読み終えた気になって、本棚へ殿堂入り。
もっと問題なのは、「あとで読もう」と思って置いておいた本たち。
やつらは二度と読まれない。絶対に。
そして、いざ処分しようとすると、
「これはいつか読むかもしれない」
「いや、これ帯の推薦文がすごいんだよね」
「作者が〇〇で…って、誰だっけ?」
結局、一冊も処分できず、本棚は“積読タワー”として静かに威圧感を放っている。
だがしかし。
そんな中でも、何度も読んでるお気に入りの本というのがある。何回も読んでるくせに、新しい発見があるのだ。
「え? こんなこと書いてあったっけ?」
あれ、俺……ここ読んでなかったのかな?ってくらい新鮮な気づきがある。
たぶん、読むたびに“読む人間の中身”が変わってるんだろう。
本ってのは、中身が固定でも、読み手が変化する不思議な鏡だ。
そう思ってまた、ページをめくる。
いや、その前に積読をなんとかしろ、自分。