【サンフランシスコ珍道中⑦】サウサリト、煙とジャズと絵の女神 | humanskill-blogのブログ@

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優しい色合いの少女の画。
そしてその絵を描いていたのが、まさにその絵の中から飛び出してきたような女性だった。

ふわりとしたブラウス、笑顔、そしてちょっと首をかしげる仕草。
「なんということでしょう」──気づけば彼女の絵を何枚も抱え、ホテルに持ち帰っていたのだった。

サウサリトは、当時から町全体が禁煙。
レストランも、バーも、ホテルも、ニコチンさんにはお引き取り願うという、なかなかの徹底ぶり。

だけど、例のジャズバーには裏パティオがあるのだ。
そう、そこが“合法ニコチン共和国”。
夜になると、地元の人も旅人も、そこに集って、酒と煙と語らいを交わす。

その夜も、パティオにふらりと立ち寄ったら、
なんと昼間の絵の中の彼女が、グラス片手に笑っているではないか。

笑顔を交わし、会話がはずみ、気がつけば明日のディナーの約束。
行き先は……まさかの日本寿司レストラン「すしらん」(笑)。

翌日、煙の向こうから現れた男

寿司の余韻に包まれて迎えた翌日。
前から気になっていた、ちょっと怪しげなお土産屋に足を踏み入れた。

店内は絵、絵、絵、人形、絵、小物、また絵──まるで視界がカオスのパッチワーク。
その中でひときわ目を引いたのが、夜のサウサリトの海辺のホテルを描いた一枚だった。

「これ、欲しいな」と思って、

「Hello!」と

声をかけてみると……

奥の扉がギィィィと開き、モクモクと煙と共に現れたのは、
寝起きか何か?という顔をした中年の男性。

 

「な〜に?」
「この絵、買いたいんですが」
「ああ。。%$&#。。。」
「は?」

 

聞き返してもモゴモゴ言うばかり。どうも様子がおかしい。
よく見ると、目がトロンとしていて、テンポがゆらゆらしている。

……あ、これは「葉っぱ」世界の住人だな。

 

とリあえず、値段を交渉。。。。

結局、「それ,人からの預かりものだから安くならない」とぶっきらぼうに言われ、
背中で“さっさと帰れオーラ”を浴びながら、絵だけ買ってそそくさと退散。

旅とは、予定外の風に吹かれること

サウサリトの旅は、静かなようでいて、絵とジャズと煙と女神と、ちょっとした幻覚的体験が混ざった、不思議な時間だった。

旅に出ると、思いがけない出会いと、予期せぬ出来事が続く。
あの絵をいまも部屋に飾りながら、ふと目をやるたびに思う。