5月14日、表参道ヒルズスペースオーにて行われた

『TAP⁻THE LAST SHOW⁻』イベント

“TAP THE PREMIUM DAY”へ。

『TAP⁻THE LAST SHOW⁻』

主演、監督、水谷豊さん

 

登壇された皆様

水谷豊さん

岸部一徳さん

HIDEBOHさん

六平直政さん

前田美波里さん

北乃きいさん

さなさん

清水夏生さん

HAMACHIさん

西川大貴さん

太田彩乃さん

佐藤瑞季さん

NONさん

nanaさん

KENICHIさん

 

拝見して参りました。

激しくも美しいタップダンスに感動しました!

上映後に生タップが見られたのも興奮しました。

トークショーでは六平さんを中心にした楽しいお話と

水谷監督の可愛らしさ、

一徳さんのタキシードに眼鏡のカッコ良さに

頬が緩むばかりでした。
 

【本編の感想】

※ネタバレありますので反転お願い致します

※かなり好き勝手言っております

あらすじ。

元天才タップダンサーの渡真二郎(水谷豊さん)は

1988年12月24日のショーで負った怪我により

演出家に転向していましたが、

現役を退き自堕落な生活を送っていました。

そんな渡のもとにタップダンスの殿堂TOPSのオーナーであり、

渡の盟友でもある毛利喜一郎(岸部一徳さん)が現われ

TOPS最後の興行、

“ラストショー”を演出しないかとの誘いをします。

ショーに出るダンサーをオーディションし、

知己と共に演出を練っていくうちに、

渡は失った情熱を取り戻していきます。

そんな中、毛利が持病で倒れてしまいます。

毛利の不調を理由に融資は断られ資金面は絶望的。

ショーは中止かと思われましたが、

若いダンサーたちのやる気に押されたのか

渡はプライドを捨てて方々に頭を下げ、資金を獲得。

無事見事なショーを作り上げることができました。

しかし、ショーの最中、毛利は息を引き取るのでした…

 

あらすじはこんなところかと思います。

かなり毛利さん贔屓のまとめ方になってしまいましたが…

ここからは感想などを。

 

まずタップは凄い!

最後24分のショーはこの映画の謳い文句にある通り

最高に高揚する時間であると言っても過言ではありません。

ただひたすら心地よいリズムに浸っていられる…

ここまでタップを魅せてくださって有難うございますという気持ち!

 

問題はストーリーかなあと、烏滸がましくも思います。

まず渡の息子であるMAKOTO(清水夏生さん)。

美容師の彼女である森華(北乃きいさん)と同棲しています。

タップダンサーと美容師で生計は苦しそうです。

彼は最初のオーディションに遅刻して渡に帰れと言われます。

遅刻した理由は華が体調不良で病院へ連れて行ったため。

ここで「妊娠かな」と思ったのですが理由は後半まで明かされず。

遅刻したけれどめげずにタップで渡を説得し、

オーディションを勝ち抜いたMAKOTO。

しかしショーが中止になると聞いて

ダンサーたちの間にも不和が生じ始めてしまいます。

そしてホストクラブで働くダンサーRYUICHI(HAMACHIさん)から

華がキャバクラで働いていることを指摘され動揺するMAKOTO。

華の勤めるキャバクラへ行き

「こんなことまでして金が欲しいのか」と怒りをぶつけます。

その夜アパートに戻った華は玄関越しに

「あたしだって生みたいの…」と涙します。

ここまで引っ張ってやっぱり妊娠だったのか…

そしてただ抱きしめるMAKOTO。

そこは「生んでくれ」って言ってあげてよ…

「悪かった」とも「俺頑張るから」も無し…

そもそもパートナーの不調でなぜ妊娠を疑わなかったのか…

MAKOTOの母(つまり渡の妻だった人)である

松原貞代(前田美波里さん)を見る限り、

彼女の援助があれば生活していけそうな気もする…

華の一途過ぎる献身ぶりも相俟って在りえなさが…

 

ダンサーの困窮を描きたいという意志は伝わりますが

もっと早めに打つ手は無かったのでしょうか?

MAKOTOの迷いはもっと序盤で「父となる」ことを自覚して

吹っ切ってもらいたかった。

 

「このショーをやる意味は何か?」に対する答えとして

「経験が財産になる」というものが挙げられていましたが、

じゃあ経験で出産費用が賄えるのかというと違うし…

この話で何が重要かって、殿堂と呼ばれたTOPSが

若者たちにとってはさらなる飛躍のための

踏み台に過ぎないってことでは?

TOPSでやったダンサーとして次の仕事に繋げられる、

そこが重要なのではないのかなと思います。

そういう意味での「世代交代」を描ききれず、

手垢のついた精神論にすり替えられたのが非常に残念。

 

あと、毛利さんは本当に死ぬ必要があったのか?

脚本の両沢和幸さんが原案に加えた大きな変更として

「毛利の死」を挙げていらっしゃいましたが、

大病で倒れ車椅子に座っているだけで引退感は出せますし、

世代交代を演出したかったのなら上記のように

TOPSが踏み台となることを押し出せば良かったはず。

何より毛利さん好きだったので純粋に悲しかった。

『相棒』の小野田官房長と同様に死んでしまったので…

困ったら死亡にして感動を引き出そうとしていたのなら間違い。

人の死をオマケみたいに扱ってはいけない気がするので。

【了】

 

【トークレポ】

※こちらにも一部ネタバレあります

階段でのイベント、劇場での生タップを終えて、

司会の方がキャストの方へ一言ずつコメントをお願いしました。

北乃きいさん、前田美波里さん、六平直政さん、岸部一徳さん、特別ゲストにいらしたタップダンサーのHIDEBOHこと火口秀幸さん、そして水谷豊監督の順番でした。


北乃きいさん「映画はショーを見たような気持ちになって。私も(生での)タップを客席で見たかったです(笑)今日は観終わったお客様ということで、色んな話を沢山出来たらいいなと思います」

前田美波里さん「タップお好きになられたでしょうか?ダイエットにも最高ですので!HIDEBOHさんの教室もありますし、私はそこで事務員をやっております(笑)」
六平直政さん「皆さん映画をご覧になってるのでここからは話しやすいです(笑)私が監督を乗せて走った車、どうでしたか?あれがねブレーキが全く効かないんですよ!車の持ち主が知り合いで「俺だけならいいけど監督乗せて走るんだよ!?」って言ったら「大丈夫ですよw」とか言われて。しょうがないから全部のシーンをセカンド発進にして走ったんですよ。そうするとアクセルを離してもエンジンブレーキがかかるんで。それで監督の命を守りました!監督から、車は真っ赤なムスタングのオープンカーでって指定がありました。見栄えが最高でしたよね!あれが初日で、監督が車の中で「むーちゃん…俺の初監督の最初のカットがむーちゃんだよ、有難う」ってそんなこと言っていただいて僕初日なのに感動しちゃって。まあダンサーの皆には負けますけど!見て一徳さん汗が…!CGなんて使ってませんからね!全部肉体の躍動ですから!人間力が凄いなあと思いました。是非ご親戚お友達彼女旦那さん宣伝してください!本当に今日は有難うございました」
岸部一徳さん「さっきのブレーキの話、ほんと?」

六平さん「本当にブレーキ効かなかったんですよ」

一徳さん「知らなかったなあ…」

水谷豊さん「全く効かないってのは嘘です。かなり甘かったですけど」

一徳さん「嘘が結構多いから…(笑)」

六平さん「ちょっと盛っただけです(笑)」
 

一徳さん「僕は映画の中で最後まで観ないでカクンと行ってしまいましたけど。今日今ここで皆さんが踊ってるのを裏で見てたんですけどすごいですね。映画を観た時もすごいと思いましたけど生でってすごいですね。映画もすごいですけど」

六平さん「映画がすごいんですよ!(笑)タップも映画の一部分ですから!(笑)」

一徳さん「自分も出てるんですけど、感動しましたよ。この映画はすごいですね」

すごい連発の一徳さんカワイイ(*´꒳`*)
 

火口さん「HIDEBOHでございます!アステア太郎と蝶々夫人をやらせていただきました。水谷監督のご構想が40年ということで。私は40数年タップをやってるんですけど、ダンススタジオに来ていた小さかった子が主役をやらせていただいて。全国のタップダンサーが救われたと言っても過言ではない、生涯残る映画だと思います」


拍手を浴びて水谷さん「センキュー。この映画を関係者以外に観てもらうのは今日が初めてなんですね。だから皆さんが初めてのお客様なんです、有難うございます。タップダンサーの生活もままならないことと情熱と夢を追うということを描こうと思って」

20代前半から追い続けた夢だったけれど

映画制作は届かない夢だと思っていたというお話。
「映画は観た方のものです」とも。

最後24分のダンスを明後日までに決めないと

間に合わないというところまで悩まれた水谷監督。

思い浮かんだことを紙に書いてあとは

「HIDEちゃんお願いね」「準ちゃんお願いね」

ってお願いしただけなんですと監督。

貰った直筆のメモがバイブルだったと火口さん。

沢山ダンスを考えて大変でしたねと言われるけど、

楽しくて仕方無かったとHIDEBOHさんは仰ってました。
 

ショーの感想は?と訊かれ前田さん「これはタップ人口が増えるなと!絶対にね!(振り付きで)」

六平さん「東映でリハーサルを一徳さんと見学させてもらったんですけど、二人で泣いちゃって」

一徳さん「泣いてないけど」

六平さん「あれ」

水谷さん「盛りグセがありますからね」
 

一徳さん「僕もタップは知ってましたけど目の前で見るのは初めてで、すごいんだなあと思って。完成したのを観てると映画を観てるというより劇場で観てるようなね。でも僕らは踊ってませんから、「ショーがすごい」だけじゃねえ…」

水谷さん「ショーしかなかったみたいですね(笑)」
 

北乃さん「リハーサルのドラマもすごかったんですよ!本当に脚が攣っちゃった人とか中学生の方も居て。そういうドラマにも涙が出ましたしこれも映画にしたい!っていうくらいで。とってもリアルなお話なんだなあって…」

火口さん「裏のドラマがありましたね」


水谷さん「オーディションではABCで評価するんですけど、僕はいいなと思ってAつけて、ふとHIDEちゃん見たらCってつけてるんですよ(笑)僕は得点つけない方がいいなって」

火口さんはその人がどこまで伸びるかもわかるそうです…!


水谷さん「一徳兄さんはね、何としても出てほしくて一年くらい前にスケジュール空けてもらって」

一徳さん「一年前にねえ「空いてますか?」って訊かれてそりゃ空いてますよ(笑)」

会場爆笑。

一徳さん「でも嬉しかったですよ。初監督作品は一度しかないから」

水谷さん「『相棒』ではずっとご一緒して官房長でしたので…官房長ぉぉぉぉぉ!!!!!一徳兄さんとは『相棒』やってる間はあれ以外できないねって言ってたんですけど、辞めた時に「これで一緒に映画ができるね」って言ってくれたんです」

一徳さん「やってたら出られなかったね。『相棒』も楽しかったですけど」

水谷さん「『相棒』の関係者居るかもしれない(笑)」

 

水谷さん「きいちゃんは撮影の頃『ZIP』やってたからスケジュールが無いって言うんですよ!」

北乃さん「それでも寝なくてもいいので出たいです!って」

水谷さん「台本有りませんでしたよね?決め手は何ですか?」

北乃さん「水谷豊さんが監督だからです!」

水谷さん「何か無理矢理言わせたみたいで(笑)」

 

最後の24分を何回も撮り直したお話。

限界を超えないと感動させられないという監督の哲学でした。

鬼になろうと決め、疲れたダンサーに「もう一回」と言ったと。

この先も監督で行こうと決意を固められた水谷さん。

盛りだくさんの内容でしたので

まとまらなくて申し訳ありません。

水谷監督には今後も挑戦していただきたいな。

“TAP”のスピンオフもやっていただきたいかも!

夢が広がります。

そして一徳さんのタキシード姿素敵です~