私のお手伝いしている会社に、50代のスーパーバイザー(以下SV)がいます。
彼は、現場たたき上げで、アルバイトから社員になり、店長に昇格し、SVに昇格した人物です。
ですので、1対1の教育や指導については経験を積んでいますが、1対多研修会での話し方、インストラクションというものについては、全く経験も引き出しもありませんでした。
その彼に、入社したばかりの新人アルバイトに対す集合研修をする仕事が割り振られました。
私が、したことのない仕事をするために不安に思っている彼から、どのようにしたらいいか相談を受け、まずは研修のアジェンダ(話す順番とそれぞれの骨子)を作り、この流れで話したらいいと思うと、アドバイスし、その研修当日も立ち会いました。
しかし、当日は散々な出来でした。
すっかり緊張で舞い上がってしまった彼は、話すべき内容もすべて吹っ飛ばし、しどろもどろで最後は何を言っているのかわからない状態でした。
そこまでできないのか、ということが衝撃でしたが、それを前提にアドバイスできなかった私の失敗です。
それで次回に向けては、話す内容を完全にシナリオ(インストラクションマニュアル)に起こし、「マニュアルを読み上げるのでいいから、この通りに話すこと」を彼にアドバイスしました。
また、研修前に3時間ほど使って、実際の研修で何を話すかを含めて、リハーサルを念入りに行いました。
その結果、研修は思った以上にうまくいきました。
話さなければいけない内容、押さえるべき内容、内容と内容をつなげる文言(ブリッジといいます)については、完全にマニュアルを読み上げる、ということでしたので、内容的にはしっかりと受講生に理解させることができました。
またこの方法で若干の懸念があった、「マニュアルを見ながら話すと、受講生との間のコミュニケーションの回路が切れるのではないか」ということについても、かれは後半余裕ができてきたのか、彼の最大の持ち味であるやわらかい雰囲気や、アルバイトと普段接しているときの優し気な笑顔などが出て、非常に研修自体の雰囲気も良好に進めることができました。
そして何より、一生懸命マニュアルを読み上げる彼の姿が、却って彼の生真面目さを伝えることになり、それも合わせて、受講生の信頼を得ることができました。
研修修了後、彼も少し自信が持てたようで、次回の研修も担当したいと申し出てきました。
50歳過ぎて新しいことに挑戦しようという彼のスタンスそのものも非常に素晴らしいと思いますが、それ以上に、しっかり準備することで、研修もうまくいくし、そういう入念な準備によって彼の良いところを引き出す結果になった、ということがほんとうによかったと思います。
このような、研修のインストラクションについてご興味がある方は、ヒューマンパワー研究所のサイトをまずご覧いただき、そのサイトからご連絡をくださればご相談に応じます。