P&Gのサクセションプラン | (株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ

P&Gのサクセションプラン

今日からはP&Gの人材育成、というよりもサクセションプランがどのように機能していたかをもう少し詳しく見てゆくことにします。グローバル化の6つのステップ(その15) でも書きましたが、会社のポジション数は限られていますのでどんなに優秀な人材がいても、その人を活かすポジションがなければ人材のパイプラインは詰まってしまいます。日本のように年功序列型のハイアラーキーを抱えている組織構造では社員が辞めていかないのでこういった「人材パイプラインのつまり現象」がおきがちです。

ではP&Gではどうしていたのでしょうか?P&Gでは特に社員が出向できる子会社などはありませんでしたが、こういった「人材パイプラインのつまり現象」が問題にはなっていませんでした。理由は簡単です。P&Gでは個人のキャリアは個人で判断すると「企業文化」が出来上がっていたからです。これは当たり前のようですが、実は多くの企業で起こっていることは「社員のキャリアを形成するのは会社の責任で、会社がキャリア形成を指導してくれる」というものだと思っています。企業本来の原則は、「会社が社員一人一人のキャリア形成にまで口出しするのはもってのほかで、キャリアは個人の人生に属しているものだ」、ということです。

家族主義的な経営、つまり「社員は家族の一員」という理念そのものを否定する気はありませんが、個人の大切な人生の意思決定を会社が示すといのは違うと思います。P&Gもアメリカでは珍しく「Long term employment(長期的な人材育成)」「社員を大切にする会社」として有名でしたが「個人のキャリアは個人のものであって、個人が創造してゆくもの」という考えは明確でした。

個人のキャリアは個人が形成するという考えを会社の企業文化として育成するにはどういった仕組みが必要なのでしょうか?

基本的には3つの要素が必要だと思います。

1.優秀な人材をできるだけ社内で育成、会社のDNAを育成する。社内に十分な能力が無いときには、必要に応じて外部からのキャリア採用もおこなう。

2.ラインマネジャーによる徹底したOJT。これは後ほどご紹介する「ビジネスプロポーザル」の方法などと深く関連していることで、ラインのマネジャーが P&GのDNAを後輩に伝えることの大切さを意味しています。ここで重要なのは「同じやり方を伝える」のではなく「考え方を伝える」ことです。

3.OJTに役立つ研修プログラムが用意されている。例えばMemo Writing, Presentation Skill, Career Development, Effective Meeting, Influencing, Time Management, Coaching, Leadership 等

こういった事を学ぶことによって、社員には市場でのEmployabilityがそなわり、自分自身で自分のキャリアを考える力がつくのです。