グローバル化の6つのステップ(その5) | (株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ

グローバル化の6つのステップ(その5)

前回、「P&Gジャパンでベストなことを実施しよう」という共通の理念の下に価値観の違う社員がひとつになったという話をしました。この動きは具体的な形に表れて1985年から1988年の3年間を「一大飛躍」プランと銘打って、ポスターを作り、4半期ごとにマネージャー全体会議を開催し進捗を報告し、年に一度の会議にはご家族も招待するなど、会社がひとつになって進んでいるという実感を味わえた時期でした。

この頃から、米国本社でも日本の躍進が認められるようになり、日本人が米国本社で、いわゆる研修ではなく、実際のマネージャーとして働くという事が始まったのです。まさに人材のグローバル化が始まったのでした。こういったことは日本対米国本社だけではなく、世界各地で起こり始めた現象だったようです。あるとき米国本社からきた人事の担当者と話しているとき彼が「P&Gは米国に本社はあるけど、もう決して米国人のための会社ではなくなってきている。」と話していたのを今でも覚えています。

P&Gの海外事業はずいぶんと前から始まっていたようですが、本当の意味で人材のグローバライゼーションという考え方ガが始まったのはこの頃ではないかと推測します。何故ならば、その後数年たって、P&Gでは全世界の社員にたいして、「Purpose, Value and Principle」(PVP)と呼ばれる企業理念と価値に基づく行動原則を提供したのです。これは企業がビジネスを行う際の行動の規範を示し、「人」に対するP&Gの考え方を明確に示したものでした。

大切なのはP&Gが何故こういった理念や行動原則を示す必要があったのかということです。その背景には間違いなく、人材の多様性を活かすことが、ビジネスを拡大することにつながる、という学習があったからだと思いますし、また、価値観の違う人材の集まりの中に、P&Gの価値観という共通の価値観をバックボーンとして植えつける必要があったからです。

世界中でこのPVPを落とし込むワークショップが始まりました。PVPがそれぞれの個人にとってどの様な意味を持つのかを問いかけることによって日々の行動も理念や原則と結び付けられるようになっていったのです。P&Gの社員ならば世界中のどこにいっても同じ価値観で行動する事があたりまえの状態が出来上がっていきました。グローバルでビジネスを展開しようとする会社にとって、世界で共通の価値観を持てるようにする事がグローバライゼーションでもっとも重要なことではないでしょうか。