グローバルで活躍できる人材とは(その5) | (株)ヒューマン・エッジ代表取締役社長・斧出吉隆のブログ

グローバルで活躍できる人材とは(その5)

もう少しオランダ人社長が取り組んだ改革について話をしましょう。この社長は組織のリーダーとはどのような行動を取るべきなのかを模範的に私たち日本人社員に教えてくれました。もうひとつ彼が徹底しておこなったことがありました。それは英語力の育成でした。当時のP&Gでは社内文章は全て英語になっていましたが、英語でコミュニケーションできる人はまだごく一部の人に限られていました。

たかが英語されど英語です。やはり日本人にとって英語のバリアはあまりにもハードルの高いものでしたが彼の英語に対する教育は徹底していました。1985 年からマーケティングの新入社員は全員入社後の4ヶ月間はアメリカで英語の研修をまず受けるようにしたのです。マーケティング以外でも毎年約20名ほどが各部より選抜されて4ヶ月間の語学研修を受けるのです。

語学研修といっても通常の英会話ではなく「異文化コミュニケーション」と呼ばれるスキルをベースにグローバル企業で必要なビジネスの基礎的なスキル、例えばPresentation Skill、Effective Memo-writing, Discussion Skill, Management Skill 等々の実践的なプログラムを英語を使って身に付けるものでした。このプログラムはその後15年間ほど続き、このプログラムから育っていった優秀なマネージャーが数多くいます。

最近「グローバライゼーション」が流行の言葉のように扱われていますが、その一方で社員に対して徹底した英語力に対する投資をしている会社をあまり聞いた事がありません。いまだに「英語は必要な人だけできれば良い」という考えかたが主流であるように思います。しかしながら、グローバライゼーションには否が応でも英語のロジックが入ってきますし、様々なビジネスプラクティスは英語を中心とした考え方が一般的です。個人的には日本の企業はもっと英語に投資をすべきではないかと思いますし、そうしないと組織力としての英語文化が育たないと思います。

幸いなことにP&Gではオランダ人社長の英語に対する投資のおかげで、会社全体のカルチャーとして英語が定着し、今では新入社員の多くの人が英語を使える状態で入社してきます。したがって英語教育も以前とは違った内容になっているようですが、今から20年ほど前にP&Gではすでに「内なる国際化」を目指していたのです。このことは1989年に私自身が「内なる国際化」というテーマで日本能率協会の「人材教育」 という雑誌に投稿していますので、もしご興味のある方は読んでみてください。