「国際化の原点は、まず北海道を知る事だ」

 

 

 これは私淑した故人の口癖でした。当時は、正直言って「英語を話せないおっちゃんの言い訳みたいだなぁ」くらいにしか捉えていませんでした。しかし、今になってようやくその意味が分かってきました。本当にそのとおりです。

写真は3号車の学生

※昭和新山をバックに3号車の学生と記念撮影

 

 私は縁あって、短期大学部の幼児教育保育学科から大学観光学部へ異動(正確には保険証が変わったので移籍)となりました。同一法人なので異動と言っていいと思いますが、沢山のアジア圏の留学生と関わることになりました。

 

 ある日の研修での出来事です。何気なく「○○さんの国の公用語は何語なの」という素人丸出しの質問を女子留学生に投げかけました。すると返ってきた答えは、

 

 

  「私の国は多民族国家なので、公用語は3つと言っていいと思います。ほとんどの人が三カ国語を使えます。」

 

 

 おぉ〜、ということはこの留学生Pさんは日本語を入れると四カ国語を話せるということ! 英会話は中学生レベルと言っていいくらいの私は、自分の国のことを語る時の要点を押さえ、明るく堂々とした口調で話す彼女に、驚きました。それは、札幌近郊の観光地(新千歳空港、支笏湖、有珠山・昭和新山、洞爺湖、中山峠)をバスで巡って添乗員の演習をするという研修中での出来事でした。

※人がほとんどいない新千歳空港中央ロビー

 

一方、日本の学生(ほとんどが北海道の道央圏出身)はというと、支笏湖の真横に聳(そび)え立つ漢字の「山」とそっくりな形をした○○岳の名前や、苫小牧から見える活火山の○○山の名前も知らないという学生がかなりいて、これまた驚きでした。

清田区を流れるアシリベツ川が石狩川水系と書いてあり、それを見た札幌市外の学生が「えっ、これ石狩川なの?」と言って、地元の学生に笑われていました。「水系」という言葉を知らなかったのですね。地理で習うと思うんだけどなぁ・・・

 留学生から色々と質問された日本人学生が、地元のことを答えられないという場面にたまたま居合わせた私は、この瞬間にピーンと来たのでした。
 

※支笏湖畔

 

 

  「こういうことだったのかぁ、地元という拠り所があって、初めて文化や環境の違いが分かってくる。だから、地元のことを知る事が国際化にとって大切なんだ」

 

 

 私も同じでした。就職するまで北海道の背骨と言われる日高山脈の東側には行ったことがなく、帯広と釧路は隣町、網走、北見、紋別なんかくっついていると思ってましたから。北海道に住んでいながら全然北海道のことを知らなかったのです。

とっさに山の名前を聞かれて答えられなかった学生の気持ちはよく分かりました。これが試験問題で紙に書いてあったら答えられたんですよね、きっと。マニアックな知識ではないですから。

 

 バスの車内では、日本語に混じって、中国語、韓国語、英語が聞こえてきました。3カ国語を操れる留学生Pさんは、さながら即席通訳となって、同席した学生達の助け船になっていました。コロナ禍の終息がまだ見えてこない中、これから始まる4年間の生活に、彼ら彼女らはどのような希望を抱いているのでしょう。


 

「まずは、大学近辺のスイーツ店から連れて行ってあげよう」

 

 清田区には清田スイーツ協会があり、加盟店の紹介冊子もあります。あんまり留学生ばかりを贔屓(ひいき)すると、日本人学生から怒られそうですね。ってことで、国籍は関係なく、ゼミの学生だけには、ウチの大学の目の前にあるお店の美味しいシュークリームを食してもらいました。もちろん、消毒液持参、風通しの良い屋外で、黙食です。

※消毒、換気、黙食を実践中のゼミ生

 

 

 

 「食や音楽、香りはその時の体験を思い起こさせる」

 

 食や音楽、香りは何かの記憶を呼び覚ますきっかけになります。その土地の香りもそうです。楽しいエピソードと五感がセットになった記憶は、その人の心の深いところに刻まれ、ある日その食や音楽、香りがトリガーとなって蘇ってくるのです。

 もちろん、学生にとっては大学での学びが大きな目的です。でも、そういった学び以外での体験もセットになっているのが学生時代の時間です。これからも研究と教育だけでなく、一人の大人(=オヤジ2号)としてトリガーを増やしてあげながら、学生自身の考えを学生の言葉で語り、教員とアカデミックな対話もできるような関係をつくっていきたいと感じました。

 

 

※異動にはなりましたが、ボイパ&ヒューマンビートボックスの研究や、音楽科教育法の授業(他学)は続きます。観光学部ではライフワークであるミュージック・ツーリズムも授業として本格的に取り組めることになりました。これからも、音楽表現、音楽科教育、指揮、そして、音楽による地域振興の研究・教育を続けていきますので、よろしくお願いします。ああ早く、ビートレカード(ビートボックス・トレーニングカード)のデータを取りたいです!

 

 

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