今更ながらW杯の感想。コロンビア戦。セネガル戦。
日本代表のすべての試合をテレビ観戦していたのですが、目のピント調節機能が異常が出てきて、はっきりと見えない状態でした。時折正常になるのですが、またぼやけたりする状態でして、え?今得点入ったの?みたいな感じでした。せっかくのW杯なのに、残念でした。今は少しずつピント調節も戻ってきて、少しずつ正常に戻ってきました。録画してあった試合を観ましたので、今更ながら、W杯の感想を。
■コロンビア戦
先制点となったPK獲得は幸運だった。しかも、相手が退場となり、序盤から11人対10人になったことは、さらに幸運だった。この試合を優位に進めることができたのも、さらには、グループリーグを突破できたのも、結局はコロンビア戦の序盤のPKがあったからだと思う。それだけ価値のあるPKであったし、運にも恵まれたかなと。ただ、FKで同点にされたシーンでは、微妙な判定ではあったが、ファールをとられた所で、もう少し身体の使い方を考えてもよかったかなと思う。ファルカオをはじめ、コロンビアの選手は、ファールのもらい方がうまいので。
その後、本田のCKから大迫が勝ち越しゴールを決めるのだが、ここは、今後「日本人らしさ」という観念を変える、1つのキーポイントだったかなと思う。というのも、これまで多くの場合、「日本人」=「身体能力が高くない」ということで、クロスを放り込まないことがあった。セットプレーでは、ショートコーナーを多用したり、セットプレー以外では、ニアサイドに低いボールを、ということが多かった。そういう思い込みがあったりするから、逆にそれが足枷となっているというシーンがあった。
「日本人」=「身体能力が高くない」ということも、一概にそうではなくて、身体の使い方の技術が高ければ、日本人でも十分通用するんだ、ということを証明したのではないかと思っている。10人のコロンビアに勝ったということではなくて、小細工なしのセットプレーでコロンビアから点数をとった、ということの方が個人的には衝撃だった。身体能力に引け目を感じ、そこから逃げるのではなく、そことどう向き合うのか、その道筋を示したのではないか、それくらい重要な得点だったと思う。
■セネガル戦
2-2の引き分け、結果を見れば悪くない。むしろ、十分よくやったと言えるスコアだろう。ただ、試合内容から判断すれば、勝てた試合だったかなと。その「勝てた試合だった」というのは、もう1点とれた、ということよりも、失点しなければ勝てた、という意味合いの方が大きい。1失点目はクリアミス、パンチングミスが重なり失点ということだったが、やはりどのような失点であれ、1試合で2失点以上しては勝ちが遠のいてしまう。攻撃に関しては、相手にカウンターをさせないという守備をしながら、バランスをとりながら2得点できているわけで、問題視するのは、3点目を奪えなかったことよりも、2失点したこと。「勝てた試合だった」という意味を間違えてはいけないと思う。
守備に関しては、相手のカウンターを封じることはできていたと思う。ただ、組織的に守っているのに、2対1の状況を作っているのに、数的優位を活かせず、なぜか1対1のようなシチュエーションになってしまうことがあった。数的優位を作るだけではだめで、誰がつきにいくのか、誰がカバーするのか、をはっきりしないといけない。「組織的に」という言葉で、あやふやになっている部分があるのかなと思った。もしくは、カバーにいけるポジションどりや、それこそハリルが言っていたデュエルの部分に課題があるのかなと。
攻撃は、やはり柴崎がかなり効果的だったように思う。特にファーサイドへのロングパス、というのが効いていた。セネガルというよりも、アフリカ系のチームは、ファーサイドへのボール、さらには、一番大外へのボール対応に難があるので、その辺りは作戦勝ちという面もあったと思う。実際に、日本の1点目も2点目も、大外にボールを運んでから生まれているので。そして、前述したが、失点してから攻撃一辺倒になるのではなく、カウンターを受けない守備をしながら、バランスをとりながら2得点した、というのは、かなり評価できる部分だと思う。
スイス戦。改善の兆しが見えず、ネガティブな印象だけが残った。
ガーナ戦の、5-4-1(3-4-2-1)が機能しなかったので、スイス戦では、慣れ親しんだザック時代の4-2-3-1へとシステム変更したが、改善の兆しが見えなかった。むしろ、機能性という面では、悪化していたのではないかとも言える内容だった。それでも、「危機感はない」とか、「やれる自信がある」などと選手や監督は言っているわけで、そのポジティブさがやけに虚しく感じる。無理やり自信を持っているのか、もうそういう部分にしか希望を見いだせないでいる状態なのだろうか。
西野監督になって思うのは、規律よりも自主性を重んじているということ。守備に関しても、攻撃に関しても、そういう部分は見受けられて、結局どうしていいのかという方向性が試合の中で見えてこない。ハリルのサッカーからザックのサッカーへ、というよりもジーコのサッカーへ戻ってしまったなという感は否めない。ジーコのサッカーは、選手の自主性を重んじてということだったけど、ドイツW杯で惨敗した。ザックのサッカー(ポゼッション重視)もそうだった。やはり、失敗したところへ戻る、というのはどうかと思うし、それが意図するものでなかったとしても、結果としてそうなっているのなら、なおいっそう早急に手を打たなければいけないと思う。
例えば、攻撃に関しては、スイス戦では、動きだしの少なさが目立った。どこにパスするの、どこに動き出すの、結局どうやって得点を奪うの、ということが明確になっていなかった。さらに詳しく言えば、トップ下の本田は、FWよりにプレーするのか、3ボランチ気味にプレーするのかということが気になった。おそらく後者だったのではないかと思うが、それは本田個人の狙いであって、宇佐美や、原口のプレー内容というからは、それがチームとして狙っていたものではなかったのだと感じる。
守備に関しては、ライン設定も中途半端だったし、どこで誰がパスコースを狭めるのか、そのタイミングはいつなのか、誰がカバーに入るのかということもつかめない状態だった。だから、守備時のポジションが分かっていないし、プレスも効いてこないし、プレスもかわされてカバーに入るのも遅れて、結局危ないシーンが多くなって、ということ。全てが裏目に出ていて、それのどこに希望を見出すのか、というレベルになる。
やはり、日本人に向いているのは、自主性よりも「規律」だと思う。攻撃に関しては、ここにパスが入ったら、こういう動きをするんだよ、こういうパスを狙うんだよ、ここのポジションには君が入ってくるんだよ、という細かい指示。守備に関しては、守備ラインはここだよ、選手の距離感はこれだよ、スライドして対応する場合は、このポジションに戻ってくるんだよ、という細かい指示。例えばそのように、細かい所までをシステマチックに指示をする。トルシエがそうしていたように、規律をきちんと作ること、それをチームの誰一人としてサボることなく実行する、そういうサッカーの方が向いていると思う。だから、ハリル解任は間違いで続投していた方が期待できた。西野監督にそこの改善を期待していたが、今のところ皆無に近い。
パラグアイ戦は、スイス戦で出場時間が少なかった選手が使われると思うが、そっちの方が機能したら、もうスタメンを入れ替えるとか、そういう策もありだと思う。今の代表チームとしての方向性は完全に間違っていると思う。結果が出なかったから叩く、というファンも一部いると思うが、結果だけではなく、内容とか、チームの方向性とか、どう未来につながっていくのか、そういうのも見えないから、今の世論として日本代表に対するネガティブさというのは当然であって、かつ健全なものだと思える。
ガーナ戦。評価の上がった選手はいただろうか
楽しみにしていたガーナ戦。見てがっかりした。
ハリルが解任され、西野ジャパンの初陣ということであったが、ほとんどいい所がなかった。西野さんは、いったいどういうサッカーをするのだろうと、5-4-1(3-4-2-1)という戦い方は攻撃的なのか、守備的なのか、化学反応は起きるのだろうか、僕の興味はそこにあったが、どんなサッカーがしたいのかわからなかった。攻撃的なのか、守備的なのか、システムにどういう狙いがあったのかわからなかった。化学反応は起きていなかった。だからがっかりした。
「西野ジャパンの初陣」、「連携不足」、という理由で、この内容や結果に納得できない。それを言い訳にしてほしくない。なぜなら、直前でハリルを解任したということは、それなりのリスクを負った決断だったわけで、監督交代によって、劇的な変化を生み出すことが狙いだったはずだから。ガーナ戦後の壮行セレモニーに対して、「そんなことやる時間があるなら練習しろ」などのコメントもあるようで、普段ならそんなコメントに目もいかないが、今回は同意できる感情がある。
長谷部のリベロはありだ、と前回書いたが、守備面でのカバーリング、攻撃面ではプレスがかかりづらいポジションでの長短のパス、そういうメリットがほとんど見られなかった。ゴール前でのファールからFKでの失点、またはPKでの失点、というのはハリルの時と同じ。吉田、槙野はそういう部分に気を遣ってもらわねばいけない、ということも同じ。GK川島の連携面での課題も同じ。
長友に関しては、ずっと前から気になっていることだが、トラップで右側に置きすぎる傾向があって、縦への突破がワンテンポ遅い。切り返してからのクロス精度も低いということも同じ。原口は、プレーが雑。ここは落ち着いてという場面でのミスが目立つ。起用されるポジションは異なって期待していたが、適正ポジション的は5-4-1の「4」の左なのかなと思う。ウイングバックとしてどうしても使いたいということであっても、右ではなく左だと思う。
山口は、パスを「つなぎたい」という意識ばかりが目立ち、「ゴールにつなげる」というパスが少ない。ハリルのサッカーの方が向いている気がする。大島は、ミスこそ少ないが、足元へのパス、近い選手へのパス、が多すぎて、山口同様、ゴールへつなげるパス、というのが少ない。宇佐美は、いい部分も見られたが、消えている時間の方が多すぎて、そこの仕事量という意味では以前と変わらずかなり少ない。本田は流動的に動いているように見えたが、だからといって、特にそれでどうだったかというと、なにもない。決定機の所以外、良さがみえなかった。大迫は、もっと自由に動いてほしかった。前後左右に動いて、ボールを引き出して起点になるべきだった。
武藤は、もっと単純に裏を狙う必要があった。自分のやりたいプレーではなく、チームに必要なプレーをすることに意識を変える必要があるし、それができれば、1トップとしての方が機能性は高い気がする。岡崎は、2トップなら活きる、トップ下のポジションなら活きると、書いてきたが、それすらも疑いをもってしまった。コンディションを整えることが最優先となるが、このままでは本番の出番はないと思う。香川は、FWとの相性というのがすごく出てしまう選手なので、使い方が難しいのかなという印象は変わらず。プレーは可もなく不可もなくで、だったら香川を使う必要があるのかなと思う。柴崎は、特長を出そうとしていたのは分かるが、身体を当てられると崩れてしまう、ミスになってしまうというというのは変わらず。ボランチではなく、サイドハーフでの起用の方がいいのではないか。酒井高徳は、運動量や、攻撃面での良さを出そうとしていたが、空回りだった。有効な動きや仕事ができていたとは思えない。酒井高徳が23人から外れても不思議ではなかったと思う。
評価としたらこんなところだが、結局誰の評価も上がっていないということ。期待の持てるような変化もおきなかったということ。誰が評価を上げたかというと、ハリルであったり、外れてしまった浅野、三竿であったり、招集されなかった中島、久保、堂安といった若い選手たち、選ばれたが試合に出場しなかった選手たち、ということになると思う。「変化を求めて」、「勝つ確率を1%でも2%でも上げるため」、という狙いの監督交代であり、それを踏まえてのメンバー選考であったことを考えれば、この状況にとうてい納得できない。
ただ、それでも日本を応援したいので、西野さんには、現状戦力で、より有効な戦い方や選手の使い方、というのを見つけてほしいと思う。
ガーナ戦のような、5-4-1(3-4-2-1)というシステムであれば、
FW:武藤
MF:原口 柴崎 長谷部 本田
DF:長友 槙野 吉田 植田 酒井宏
GK:中村
とか
FW:大迫
MF:乾 大島 山口 宇佐美
DF:原口 槙野 長谷部 吉田 酒井宏
GK:中村
上記のような布陣で、守備重視。基本「5-4」のブロックで守って、攻撃はCFと両サイドハーフの3枚で、ということに徹してもよかったのではないか。
攻撃の3枚も、「大迫、本田、宇佐美」というユニットだと、大迫と本田の役割がかぶってしまったり、後半から出場した「武藤、岡崎、香川」というユニットでも武藤と岡崎がかぶってしまうので、例えば、「武藤、原口、本田」というような、役割を分けた3人ということで選んでもよかったと思う。なんなら、浅野を選んでおいて、「武藤、浅野、本田」とか、「大迫、乾、浅野」とかの組み合わせも魅力的だったと思う。たとえ内容が悪くても、そういう形や選手の組み合わせこそ必要だったと思う。
厳しいようだが、今のままだと、奇跡を起こすとか、そういう次元でもない。あの人選では無理、そう思われても仕方ないのかなと。
だったら、ハリルのいわゆる「縦に速いサッカー」で戦って、それをしっかり検証して、次につなげた方が、日本サッカーにとってはずいぶんよかったと思う。たとえW杯で結果を出したとしても、今の思いは変わらないと思う。