岡田精司 神社の古代史
有名な神社の成り立ちについて書かれた本です。
一般向けのカルチャーセンターでの講義を書籍化したもので、読みやすいです。
1983~85年の内容なので、内容は少し古いのかもしれませんが。
岡田精司さんは、王朝交代論を唱えていた一人ですね。
古墳の集積地が移動しているのは、王朝が代わっているからだという考えですが、最近は下火のようですね。
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神社の古代史 (ちくま学芸文庫)
1,296円
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第1章 日本の神と社
一 古代日本の神々
最初に日本の神々の特徴が述べられています。
1.あらゆるものに神霊が宿る。
2.神は人里には住まない。祭りの日だけやってくるものである。
3.神は目に見えない。偶像崇拝は古代には無い。(平安以降にはある)
4.神と死者の霊は別。個人の神格化は古代には無い。
神は人里にはいないし、目に見えない。何を拝んでいたかを分類すると、下記になります。
1.山とか島(無人島)
2.岩とか樹木
3.鏡や剣
4.特に変わった動物(大きいとか白いとか)
1は神のいる場所。2と3は依り代。4は神の使い。
二 神社の成立
あまり考えたことはありませんが、神社の定義が書かれています。
1.祭場と祭祀対象
2.祭る人の組織
3.祭りのため建造物
祭場は神が訪れる場所ですね。元々屋外にそういうエリアがあって、
そこに後から建物が建てられて神社になっていくということです。
最初は祭りの時だけの仮設だったようです。
第2章 三輪王権の神体山<大神神社>
大神神社と書いて、「おおみわ」と読むそうです。
奈良県桜井市にある神社で、本殿が無く、三輪山がご神体になっています。
本殿が無く、山を拝む形で作られているところが、古いタイプの神社の姿を示しているそうです。
大神神社の祭られているのは、オオモノヌシです。
オオモノヌシの神話の読解きが書かれていますが、王朝交代論の観点からは、
三輪王権の主神だったのではという主張です。
第3章 大王の守護神<伊勢神宮>
江戸時代に伊勢参りがブームになりますが、古代においては、一般人お参り禁止だったそうです。
「私幣禁断の制」といい、天皇家のためだけの神社ということだったそうです。
伊勢神宮は外宮と内宮に分かれていますが、外宮は元々地元にいた神と考えているそうです。
内宮にアマテラス大神を奉ったときに、地方の神が接待役になったのが外宮だという考えです。
実際、外宮の御饌殿には、毎日食事が用意され、アマテラス大神が食べにくる設定になっています。
伊勢地方がヤマト政権の勢力下に組込まれたときに、人間の力関係が、
神々の役割に反映したのだろうということです。
第4章 航海と外征の神<宗像と住吉>
一 朝鮮航路の守護神――宗像大社
宗像大社は福岡県宗像郡にある神社です。九州本土と沖ノ島と大島の3か所に社殿があります。
沖ノ島は島全域が神域とされ、立ち入り禁止になっていることが特徴です。無人島が神域になっている典型でしょう。
祭られているはタコリヒメ、タギツヒメ、イチキシマヒメの3女神です。
九州から対馬経由で朝鮮半島に渡る航路にあり、航海を司る神になります。
このため、地方神であるけど、ヤマト政権の強い庇護下にありました。
遣唐使の廃止とともに重要度が下がって、元の地方神に戻っていくという経過だったようです。
二 大和王権の航海神――住吉大社
住吉大社と聞くと大阪の庶民的な神社をイメージしますが、元々は大和王権の航海神だったとのこと。
昔の大阪湾はかなり内陸まで入り込んでいて、住吉大社のあたりが海岸線だったんですね。
奈良から見るとちょうどこの辺が一番いい港だったということです。
古代の船には住吉大社の神職が乗船していたらしいです。神頼みなしには航海には出られほど危険だったんでしょうね。
第5章 王権の軍神<石上神社>
石上神社は奈良県天理市にある神社で、いそのかみと読みます。
霊剣フツノミタマがご神体です。国譲り神話と神武東征神話に登場する剣ですね。
石上神社が武器庫だったり、武器の製造工場だったりしたようです。
ここで作られて武器にはフツノミタマの分霊が宿るということだったようです。
もう一つの役割として、征服した氏族の神宝を補完する役割があったそうです。
氏族が反乱を起こさないようにその神宝を、フツノミタマが見張っているということですね。
百済からもらったという七支刀が石上神社には収められているのですが、
フツノミタマに見張らせているということなんでしょうかねぇ。
第6章 東国の鎮守<鹿島・香取神社>
鹿島神宮は茨城県鹿嶋市、香取神宮は千葉県香取市にあります。
この二つの神社はセットだそうです。位置関係としては、霞ケ浦を挟んで南北にあります。
古代の霞ケ浦は今よりも大きかったので、対岸という位置関係だったんでしょうね。
鹿島神宮に祭られているのは、タケミカズチです。
神話では出雲を平定した神ですが、なぜか鹿島に祭られています。
元々は関東平定だったのが、出雲に変えられたのではないかという見立てです。
香取神宮の方は地元の神だろうということです。鹿島神宮とセットになっているのは、伊勢神宮の
内宮と外宮の関係と同じように考えているそうです。
鹿島神宮の本殿は北を向いていて、つまりここが東北への軍事拠点だったということです。
近畿から船で霞ケ浦まで来て、ここから陸路で東北へ進軍という感じだったんでしょうね。
第7章 古代の氏神の祭り
これまでの章は国家が祭っている神社でしたが、この章は氏族が祭っている神社です。
氏神というと現在では地域の神様ですが、古代においては血縁で結ばれた集団の神です。
氏神は必ずしも祖先神ではないという主張がされています。
たまたま生活の拠点としたところにあった、神聖な何かを奉ったことが始まりなのではということです。
第8章 神祇官の祭り――西院の神々と御巫の奉仕
神祇官は律令制度の役所で、神社の統括をしていました。
律令は中国から取り入れたものですが、神祇官は日本独自のものです。
役割の一つが伊勢神宮へ勅使を務めることです。
勅使が伊勢に出向くことで、祭りが始まるわけで、神祇官が伊勢神宮をコントロールしていたわけです。
二つ目の役割が宮中の祭祀です。
この辺の役割は現在も宮内庁がやっていることと似ていますね。
第9章 祈年班幣と国司の神祭り――律令国家の神社支配
弊というのは神へのお供えものですが、勅使が持っていくのが奉幣、神主に取りに来させるのが班幣です。
神祇官に各地の神主を呼び出して、お供え物を配っていたんですね。
これが古代国家の地方神社支配の手段になっていました。
もう一つが、神のランク付けです。12官位と同じように神にも「神階」をつけることで、
地方神社を従えていたそうです。
涼月
