フーラ

元気でいますか?

そちらはどうですか?

かわりはありませんか?

パパが見えますか?

今日、おまえが旅立ってから、丸1年の日を迎えました。




パパたちの世界では、一周忌って言うんだよ。

今年も去年と同じように桜が咲いたんだ。

多摩川のあたりは、まだ満開じゃないけどね。

パパは、今年もおまえと一緒に見たかったなぁ、、

さっき、サーラと見てきたよ。




そうしたら、去年の3月31日におまえの亡きがらを家に残して仕事に出た時の痛みが蘇ってきた。

あの時ほど、桜の花が悲しかったことはないさ。

さてと、、

おまえが旅立った時刻に、パパはこの手紙を送ります。

おまえがいなくなってからの1年は、パパにとって長く苦しい時間だったなぁ。

そして、あっという間の1年でもあった。

1年前、最後の日々を、おまえは本当によく頑張ったね。

ただ生きようとして、最後まで闘っていた。

おまえは、犬としての本分を全うしたんだ。

そして、少しでも長くパパのそばにいようと頑張っていたね。

パパは痛いほどわかっていたよ。




(2018年3月30日10時13分 生きていた最後のフーラ)


去年の30日、パパがおまえを置いて仕事に出た4時間。

パパがおまえを置いて家を出た時、

あの時が、今生の別れだったんだね。

おまえはよくがんばった。

本当にえらい子だ。

おまえはパパの誇りです。



(旅立つ前 優しい目のフーラ)


おまえがいなくなって、パパは生まれて初めて、あんなに涙を流した。



(最後の夜 30日午前0時過ぎ)


なんだか不思議だね。

人から見たら、おまえはただの犬かもしれないけれど、パパにとっては大切な宝物だったからね。




(フーラ)


ねえ、フーラ

今は、サーラが来てくれたから、毎日が楽しいよ。

おまえがサーラを連れてきてくれたんだよね?

明日は、サーラの9歳の誕生日だ。

おまえの命日の翌日が誕生日だなんて、おまえたち姉妹は不思議な縁でつながっているんだね。

保護犬同士なのに、確かにつながっている。

サーラは、もう9歳になるのに、まるでパピーのようにハチャメチャだ。

他のワンコに遭うと大喜びで、相手の気持ちなどお構いなしに走っていくんだ。

そして、「まだ、若いですよね?」と必ず聞かれる。


(サーラ)


明日9歳の誕生日を迎えるというのにね。

8歳で保護団体さんに保護されるまで赤ちゃんを産まされていた繁殖犬のサーラが、まるで赤ちゃんからやり直しているようだ。

パパは、そんなサーラを見ていると幸せです。

ありがとう、フーラ。

おまえが、パパにたくさんのことを教えてくれたから、パパとサーラの今があるんだね。

パパは、心からの感謝をおまえに贈ります。

そして、パパはいつかおまえに会える日が来ることを、心から楽しみにしています。


(フーラ)


でもね、パパは、まだやらねばならないことがあるから、神様に来いと言われるまで、当分はこちらでがんばろうと思います。

だから、ゆっくりと待っていておくれ。

そして、その時が来たら、迎えに来てほしい。

パパとフーラの約束だ。

頼んだよ。

フーラへ

胸いっぱいの愛を込めて



(2017年 初夏のフーラ)


僕はゆっくりと目を閉じた。

とても自然なことだった。

僕は光の中にいた。

光を抜けると草原に出た。

まるで僕が暮らした街の河川敷のような草原だった。

かなたに、犬がいた。

白い犬だった。

僕らは、同時に互いを見た。

白い犬が、グッと顔を上げて首を伸ばした。

すると、犬は全力で走り出した。

まるであの日のように。

空を飛ぶように。




僕はひざまずいて、両手を広げた。

犬は、僕の3メートル手前から宙を飛んだ。

そして、僕の胸に飛び込んだ。

それから僕の顔を舐めた。

何度も何度も舐めた。

僕は犬の目を見つめて、

強く抱きしめながら言った。





ごきげんよう

フーラ

いい子にしていたかい?

もう、ず~っと一緒だよ。




【以下、閲覧注意・遺体写真あり】







ありがとう

僕の大切な一輪の薔薇

フーラへ