いつも、フーラとサーラを応援してくださり、ありがとうございます。
フーラをいつも可愛がってくれたご近所の娘さんが、今年、成人式を迎えた。
11年前、フーラがわが家にきた時、この子はまだ、9歳くらいの女の子だった。
子どもが大人へと成長していくのは、本当に早いものだ。
このご一家は、お散歩中のフーラを見かけると、皆さんたいそう可愛がってくれた。
フーラも、このご家族になついていた。
昨年3月30日にフーラが旅立った際には、花に囲まれてリビングに横たわるフーラを、ご家族そろって別れを惜しみ、見送りに来てくれた。
8歳になる直前にわが家にきたフーラが、10年間という歳月を過ごし、その犬生をまっとうする間に、娘さんは大人になっていった。
昨年、フーラを見送ってくれたあと、大学生になっていたこのお嬢さんは、韓国に留学した。
だから、10月に僕のもとに来たサーラには、会ったことがなかった。
僕は、彼女のお父さんやお母さんにお会いすると、いつもフーラをことのほか可愛がってくれたお嬢さんにサーラを会わせたいと話していた。
先日の成人の日に、家でサーラとくつろいでいると、玄関のチャイムが鳴った。
インターフォン越しの声は、そのお父さんであった。
ピンときた僕は、サーラを抱いて表に出た。
すると、色鮮やかな振り袖を着たお嬢さんとご両親がそこにいた。
ハレの日にふさわしい華やかな佇まいの娘さんが、振り袖のままかがんで、満面の笑顔で「サーラ」と呼んだ。
フーラと違って、やや人見知りのあるサーラは、初めて会う人には近寄らないし、体も触らせない。
が、しばらくの間じっと彼女の顔を見つめたサーラは、そっと彼女にすりよっていき、彼女に甘えるような仕草をみせた。
それには、彼女のご両親も驚いている様子だった。
僕は、「犬は、犬が大好きな人がわかるんですね」伝えた。
その時、僕は内心で「フーラが、サーラの中にいるのかな」と感じていた。
フーラが、サーラの体と目を通して、彼女に会いに来たのかもしれないと。
僕はサーラを抱いて、改めてご家族にお祝いの言葉を述べ、出発して行かれる車を見送った。
それから家に入り、写真に話しかけた。
「フーラ、おまえ、Kちゃんに会いにきたのか?」
出窓で僕を見つめるフーラは、少し笑っているように見えた。