こんにちは。

フーラとこーたです。



ふと気づけば、セミたちの声も聞こえなくなり、


夜道で鈴虫や松虫が奏でる音いろに耳を澄ます季節になりましたね。



今日、こちらは気持ちのよい晴天。


僕は近頃、バッグに「飴ちゃん」を入れています(笑)




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おかけさまで、今週水曜と今日の2回、フーラの「点滴」を 無事に終えることができました。


でも、まったく問題がなかったかというと、そうでもなく、水曜日はひと騒動ありました。




当初、僕はリビングに飾っている絵を掛けるためのフックに


点滴パッ クをぶら下げようと考えていたのですが、


実際に掛けてみたら点滴の袋がゆがんでしまい、


点滴した輸液の量がわからないことが判明しました。


(1パック500mlで、50mlずつ10回使用します)




その構想が崩れたことで、チューブをつないだ点滴パックを手に持ったまま


若干パニクッてしまい、


家の中のどこにぶ ら下げるか悩み、最終的に寝室のドアのストッパーにぶら下げる


という結 論に達したのですが、


その間、輸液がチューブの先から垂れ流しになっていることに気付かず 、


ふと気づいたら、ソファーとクッションがびしょぬれで、


150m l(3回分)も放出してしまうという


離れ業?を演じてしまいました。


チューブからピューって、家の中に輸液をまき散らしてたんです~(笑)



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さらにフーちゃんに針を刺す際、「ギャン」と叫ばれ、


「あらっ、いたかっ たでちゅかー?」と動揺。


フーちゃんの疑惑の視線をあびながら、もう一度、針を刺し直すと いう醜態。


「ごめんねでちゅー」 と赤ちゃん言葉で取り繕うこーた。


余裕でできるはずだったのですが、動揺しまくり。


しかし、その経験である程度コツをつかんだので、 今日はうまくいってひと安心です。



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さて今日は、 先日の夕方に出会った、すずめの赤ちゃん のお話をさせてください。


その日、早めに帰宅できたこーたは、すぐにフーラのお散歩に出かけました。


フーラお決まりのパトロールコースを1周し、10分弱で我が家に到着。


エントランスに入ろうとしたとき、「ピィーッ、ピィーッ」という鳥の鳴き声が耳に。


「ん?」


なにか聞きなれない、鳥の鳴き声が。


普段聞くスズメの声とも違う、かん高く長く切実な鳴き声。


「なんだ?なにかいるのか?」


と、まわりを見渡すと、植え込みのタイルの下の方に、


体長5センチあるかないかの小さな生き物が。




「ピィーッ」




すずめの赤ちゃん?




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それはなんと、すずめの赤ちゃんでした。


「なんだ、おまえ、どうしたの?なんでこんなところにいるの?


どこから来たの?お母さんはどこ?」


矢つぎばやに聞いてみたのですが、すずちゃんは答えてくれません。


「ピィーちゃん。おまえちゃんは、すずめのピィーちゃんだ。どこから来たの?」


こーたがしゃがんで近づいたら、勝手にピィーちゃんと名付けられたすずめは、


ビビッて固まってしまいました。





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まわりを見渡しても、親鳥の姿は見えません。


「えー、どこかに巣があるのかな?」


全然わからない。


一体この子はどこから来たんだろう。





ピィーちゃんは、こーたがさわっても抵抗もできずに固まっています。


野生のすずめの成鳥であれば、手でさわれるはずがありません。


「おまえ、赤ちゃんだから飛べないのか?」


ピィーちゃんはどうやら、歩くことしかできない様子でした。


「こまったな。こんなところにいたら、カラスに食われちゃうぞ」


お散歩帰りのこーたは、フーラを脇にかかえたまま、思案に暮れました。


このまま、ピィーちゃんを置いて帰れば、カラスのカー公にやられてしまうかもしれない。


ここでこーたが出会った以上、ピィーちゃんをカラスのえさにはさせるわけにはいかん。




「こーたのお家に連れて帰るか?」




いや、待て。


ピィーちゃんは、野生のすずめだ。


インコではない。


もし、こーたが家に連れていけば、気配を殺してどこかで見ているかもしれない


ピィーちゃんのお母さんが、ピィーちゃんを見捨てて去ってしまうかもしれない。


それが野生の掟だ。




でも、ピーちゃんが家でピーピー言いながら一緒に暮らしているのも、わるいものではないな。


野生のすずめを家族にした男。わるくないぞ。


えさは、こめつぶとかでいいのかな?


いや、いかんいかん。


それは、ピィーちゃんにとって本当の幸せではないのだ。




ピィーちゃんは、思案するこーたをよそに、壁に向かって身を縮めるように張り付いています。


「見なかったことにしてください」と言わんばかりの張り付き方です。




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「そうだ。やっぱり、野生のピィーちゃんは、この試練を乗り越えねばならないのだ。


ここはマンションのエントランスだが、ピィーちゃんにとっては野生の戦場であり、


ピィーちゃんの生死をかけた闘いの場所なのだ。」




人間が野生の生き物に手出しをしてはいけない。


もし、ピィーちゃんが生き延びることができなくても、


それが野生であり、弱肉強食の世界なのだ。




こーたは、決めました。


ピィーちゃんはそのままにして、こーたとフーラは自分の縄張りに帰ろう。





立ち上がったこーたとフーラは、建物に入っていきます。


後ろ髪を引かれる思いのこーたは、思わず振り返ってピィーちゃんに向かって叫びました。


「ピィーちゃーん、ピィーちゃーん、生きるんだよ、ピィーちゃーん」




うっすらとこーたの視界が曇りかけたその時、視界の中に5歳くらいの女の子が現れました。


「おじちゃん、壁に向かって、なに言ってるの?」



まずい。見られた。



あわてたこーたは、女の子に向かってとっさにうそをついてしまいました。


「このワンちゃんがね、ピィーちゃんていうの。


さぁ、ピィーちゃん、おうちに帰るよー。はい、ピィ~ちゃ~ん。」


「ふーん。鳥みたいな名前だね。」




なかなか、するどい子どもである。


確か、ご近所に一戸建てを建てて越してきた、若いご一家ではなかったろうか。


ママが、なかなかいかす女性だった気がする、、、




しかし、とっさのこととはいえ、子供にうそをついてしまうとは不覚だ。


あの子にとって、フーラは一生ピィーちゃんであらねばならないではないか。


大人がうそをついたとわかったら、


あの子は将来、大人をさげすむ反逆のロックスターか、


ただの不良になってしまうかもしれない。


このうそは、こーたが墓場まで持っていかねばならない。


そう決めました。




しかし、これから先、散歩中にあの子に会ったらどうしよう。


「ママ。あのワンちゃん、ピィーちゃんって言うんだよ。ピィーーちゃーーん。」


なんて言われたら、どうすればいいのだ。




それが、シーズーのゆうたろう君のママや、


ボーダーコリーのアイちゃんのママと立ち話なんぞしているときだったら、


なおさらまずい。




どうする、こーた。



そうだ。逃げよう。




これから、お散歩中にあの子どもを見かけたら、フーラを小脇に抱えて走って逃げよう。


逃げるが勝ちというではないか。


こうして、大人の男はまた一つ、世の中を生きにくくしていくのであった。




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さて、話が横道にそれました。


後ろ髪を引かれる思いでエントランスに入ったこーたでしたが、


エレベータの前まで行って、やっぱりピィーちゃんが心配になり、


そーっとエントランスに逆戻りしました。




そっと表をのぞくと、なんとピィーちゃんの横に親鳥がいるではありませんか。


やはり、こーたがいるから出てこれなかったんだ。


この時も、かすかなこーたの気配を感じるやいなや、


親鳥はサッと飛びたち姿を隠してしまいました。




「ピィーちゃん、よかったな。お母さんが来たんだな。しっかり生きるんだぞ。」


こーたは胸のうちでつぶやきました。




翌朝、こーたが新聞を取りにおりた時、ピィーちゃんの姿はもうありませんでした。





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ピィーちゃんは野生の中で生きている。


生きるも死ぬも、野生の掟に従わねばならない。




こーたは表に出て、あたりを見回し、そして空を見上げました。


「きっと生きているよね、ピィーちゃん。また会おう。」




ピィーちゃんが、どこへ、どのようにして、去って行ったかわかりません。


でも、あの親鳥とピィーちゃんは、野生の本能を駆使してサバイバルしたはずです。


そして、必ず生き延びたと僕は信じています。





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いま、僕はとても幸せな気分です。



ピィーちゃんとの一瞬の出会いが、すずめと僕の世界を変えました。



僕にとって、今までどれも同じに見えていたすずめが、



どの子も世界にたった一羽の特別なすずめになりました。






ベランダで、エントランスで、バス停で、駅へ向かう道で、



コンビニから出てきた時も、クルマで信号に止まった時も。






どんな時でも、僕の目の前に『すずめ』があらわれたら、僕はそのすずめにこうたずねます。




「こんにちは。ねぇ、きみは僕の友達のピィーちゃんではありませんか?」





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