今日は一月十日、始業式。

「いってきまーす!」また再びいつものようにイズミとキュランは玄関扉を開けながら言った。「いってらっしゃい」部屋の中からお母さんの声が聞こえた。

ちょっと早歩きで2人は喋りながら学校へ向かうと後ろから声が聞こえた。「イーズーミー!」後ろを振り向くとナオが手を振りながらこっちへ走ってくる。「おはよう!」三人で同時にあいさつをした。「ねー、宿題終わった?」「オレは何とか終わった」「私も。もう昨日は徹夜でやったからホントに疲れちゃったよぉ。」そういうとイズミは1つ大きなあくびをした。学校に着くといつもより教室が騒がしかった。(そっかぁもう春だから皆ウキウキしてるんだな~)でも教室に入ってみると、どうやらイズミの思っていたことと違うらしい。「ねえ、マキ。なんか皆いつもと違うね」イズミが同級生のマキに聞いた。「なんかね、転校生がくるらしいの。ほら、あそこ」マキが指差す方向に三人が目を向けると誰も使っていない机とイスが一組目立っていた。「へえ、誰だろう」イズミたちが転校生のことを考えているとキュランがいつもより気分が悪そうなツバサを見てツバサの方に行った。「おい、ツバサ。どうしたんだよ。めちゃくちゃ気分悪そうだぜ」キュランが声をかけると青い顔をしたツバサがゆっくりこちらを見ていった。「・・・な・・なんか・・・すごいやな予感がするんだ。しかも・・・・その気が・・・あの机から出てくるんだ」ツバサはそういうと何も言わなくなった。そして始業式が始まった。校長先生の時はイズミは徹夜していたのでその眠気が出てきて校長先生の話の途中で、コクン、コクンと首が上下に揺れていた。やっと校長先生の話が終わったと思ったら、次は校歌、そして表彰状。そして今度こそやっと終わった。長い間、睡魔と戦いながら立っていたイズミにとっては最高だった。クラス全員が教室に戻ると、緑川先生が来て学科が始まった。だがそのときドアのノックの音がした。「どうやら来たみたいですね」緑川先生がそういって開けた瞬間、二つ結びの女の子がものすごいスピードでツバサの方にとんでいった。そしていきなりツバサを抱きしめて大声で言った。「キャー―!!青木くーーん!お久しぶり―!もーあたしーあっちにいたときもずーーっと青木君のことしか考えらんなくてぇ、もーホントにさみしかったんだからー!」

クラス中の生徒と先生の目が点になった。


彼女の名前は、野山野みかん。ツバサ一筋でかなり自己中。実は彼女は以前もこの学校に転入してきてツバサに一目ぼれしてしまったのだ。彼女はとにかくすぐに飛び掛る方なので、ツバサはかなり迷惑だった。だが途中から外国に行くことになってしまったので転校してしまった。そして今帰国したというわけなのだ。


「おっ・・・・おい!ちょっ、は・・・はなれろよ!」ツバサは体を左右にブンブン振り回しながらいった。やっと、みかんがはなれたとおもったら今度はずっとツバサの近くに付きまとっている。(おいおい・・・コイツこのままオレに採り付く気か?冗談じゃねえぜ。これ以上付きまとわれるとホントに堪忍袋の尾が切れちまう・・・・・!よし。こうなったら幻術でも使うか。別に慣れてるから手を使わなくてもいいしな。)ツバサは心の中でそういうと、ツバサのことをじっと見つめているみかんにむかって、ツバサは思いっきり目を見開いた。ツバサの黒い瞳の中心から白いものがグルグル渦を巻いている。その目を見たみかんはいきなりとまどい始めて、静かにその場をスッと離れた。そのあと皆の視線にも気にせず、一人ぶつぶつ言いながら自分の席についた。皆は呆然としながらそのまま授業を始めた。授業が終わると皆は帰るしたくをした。帰りの会が終わり。下校の時イズミはツバサのところへ行き、小声で言った。「ちょっと、そろそろ野山野さんの幻術、解いてあげたら?そもそも皆のいる前で幻術使っちゃダメだよ。もし目撃者がいたらどうするの?」話が終わるとツバサは仕方なさそうな顔をして言った。「大丈夫だ。オレの幻術は一定の人に掛けられるようになってるからな。あと今は幻術はあいつの視界からオレが消えてから解く。今解いたら絶対にストーカーされる。ったく、普通のやつらでも疲れるってのに・・・・・」言ったあとにキュランとナオがやって来て四人で帰ることにした。門を出て、曲がり角を曲がってもう一回角を曲がったところでツバサは指を1回パチンと鳴らした。「はいよ。これで野山野の幻術をといたぜ。」ツバサが言うとキュランは、「モテる男は大変だなあ」とつぶやいた。そのとき、学校の方から、「あーーおーーきーーくーーん!」とみかんが叫んでいる声がした。四人はそれを聞いて逃げるように早歩きで帰っていった。「じゃあ!また明日ね。バイバーイ!」イズミは手を振っていった。四つの曲がり道で皆は別れた。「・・・・・ねえキュラン」「ん?」「なんかね、私最近ずっと同じ夢見てるんだ。」

「どうゆう夢?」「んーとねえ。なんだか知らないところにいたり・・・・・とにかくいろんなところへ行く夢なんだ。最後には必ず、一定の女のこの後ろ向きが見えるの」「ふーん。まあそういうのはあるんじゃないか?」そして2人はいえについた。その日の夜もイズミは同じ夢を見ていた。                  続く