ナオの吹いた笛の音が広間じゅうに響いた。龍(王様)の動きが止まった。そして龍の虹色だった顔がどんどん青ざめていく。「ガアアアアアアア!」突然龍は叫びだし、その場で頭を抱えて立ちすくんでしっまった。

「早く!!その音色の効果は長くないわ!」女王が叫ぶとイズミはハッとして持っていたクナイを龍にむかって投げた。見事にクナイは龍の背中に刺さった。「グガアアアアア!」龍はまた叫んだ。刺さったクナイの痛みで龍は正気に戻った。今度の攻撃は龍の口から濃い紫色の光線を放った。その光線はナオに向けられていて、ナオはよけようとしたが光線のスピードが早すぎて光線にあたってしまった。「キャアアアア!!」黒っぽい紫色の光がナオを一瞬にして包んだ。「ナオー---!!」イズミはナオのところへ走って行ったが、ナオは地面にバタッと倒れてしまった。ナオを抱きかかえていたイズミはサッと龍の方をにらみつけると目から涙をポロっと流してナオを地面に置いて無言のまま龍の方へと走っていった。龍は先の尖った爪でイズミを引っかこうとしたがよけられて、イズミがいきなり消えたと思うといつのまにかにイズミにさっき壊した鎖で首を締められていた。「ガァ!グゥワッ!」龍の濃いオレンジ色がどんどん赤くなっていく。「やめて!!もういいわ!!」女王がさけんだ。だがイズミには聞こえなかった。すると女王はイズミの方向に両手の手のひらを向けて、グッと手に力を入れた。そのときイズミはビクっとなり、力が抜けて下へゆっくりと降りてきた。

それと同時に龍がものすごい勢いで地面に倒れた。イズミの意識が戻ると、そこには王座に座った女王とその隣りには申し訳なさそうな顔をした龍がこちらを向いている。「あら、やっと目覚めたのね。よかったわ」女王がにこやかに言った。「ほら!あなた、ちゃんと謝りなさい!」龍に向かって女王が叱った。「ああ、その・・さっきは、すまんな。ワシは何があったか覚えておらんから、もう何がなんだか分からんのだよ。隣りの小部屋で休んでおる娘にもワシが危害をくわえてしまったようじゃからな・・・・・・・」龍が反省するように言うと、イズミはナオのことを思い出した。「あ・・あの!その女の子はどこにいるんですか?」イズミが慌てていった。「あ~、あの子ならそこの紫色のドアの中よ」女王がいうとイズミは走っていった。いくつもある色とりどりなドアのなかからすぐに紫色をしたドアを見つけてそのなかにイズミは入っていった。部屋の中では紫のチェックの模様のベッドの上でナオが静かに眠っている。それを見て、イズミは安心してため息を1つ出した。

「ナオ、起きて。もう事件も終わったし、一緒に帰ろ」イズミはそう言いながらナオの体を揺らした。

「ん・・・ん~」ナオの目が1回強く閉じてまた開いた。「あれ?イズミ?なんで私はここにいるの?」目を手でゴシゴシしながらナオが言う。「ナオが寝てる間に龍の問題が解決しちゃったんだ。だから早く帰ろ。お母さんたちが心配しちゃうよ」イズミの目が少し涙ぐんでいた。ナオはそれに気づいたがそのままそっとしておいて言った。「・・・・うん・・・・じゃあ・・いこっか」イズミとナオは王座のある大広間にいくと別れのあいさつをした。「どうも有難うございました。是非またお会いするときを楽しみにします」イズミとナオは2人同時にいいながらおじぎをした。「いいわよ、そんなに丁寧にしてくれなくて。第一お礼の言葉を言うのはこっちよ。どうも、ありがとう。こちらもアナタたちとまた合えるのを楽しみにして待っているわ」「ああ、どうもありがとうなワシは絶対に君たちの事を忘れんぞ。うん、もし何かの機会があったらいつでもきなさい。そのときは今よりもっと綺麗な幻を作って是非君たちに見せてあげるよ」女王と龍がそういうと兵士がきてワープゾーンまで連れていてくれた。ワープゾーンに着くと兵士はイズミたちにおじぎをした。そしてしたに書いてった紋章のようなものから光が射しこんでその光がイズミたちを包み込んだ。そして気がつくとイズミの家の前にいた。夕方だった。家のベランダではキュランが寂しそうに夕日を眺めていた。「おーーいキュランー!]イズミが叫ぶと、キュランはビックリしてこっちを見た。イズミたちだと分かるとベランダを出てしばらくたって、玄関の扉が開いてキュランがでてきた。「イズミ!?それにナオ!?一体二人ともどこ行ってたんだよ。もう一週間近くはいなかったんじゃないのか?」それを聞くと2人は顔を見合わせて同時に聞いた。「今日って何月何日?」

「え?今日は普通に一月九日だけど」キュランは不思議そうに言った。「ええ~~~~!!??」2人は思いっきり叫ぶと、もう一度キュランに聞いた。「ねえ!ホントに今日は一月九日?」「あー、そうだよ。だから今日は九日で明日が十日。始業式なの」キュランは呆れ顔で返した。「うそおおおお!!なんでえええ!?だって私たちがあっち(城)にいたとき、そんなに何日もいなかったよおおお!!まだ宿題終わってないよぉ!!どおしよう・・・・」「もうこうなったら急いで帰ってやれるだけやんなきゃ!!」二人が言うと、急いで家に戻って、徹夜で勉強を終わらせた。               続く