イズミはお母さんに食事の用意をしてもらおうと頼んだ。「え!?だってまだ六時半よ。だいたい冬休みだからゆっくり寝れるじゃないの」寝起きの声でお母さんは言った。イズミは時計を見た。確かに時計は六時三十分のところで針をさしている。「いいの~。とにかく早くご飯作ってよお」イズミがそういうとお母さんは不思議がりながらご飯を作った。いつもより早めに朝食を食べたイズミは、コートを着て、急いで靴をはいて玄関扉をあけて走っていった。お母さんはそれをただ、呆然として見つめていた。

そして、イズミはナオの家の前で止まって息切れしていたので1回深呼吸して落ち着かせてインターホンのボタンを押した。しばらくするとガチャっと音とともにインターホンから男の子のこの声が聞こえた。「はい」     「あの・・神野ですけどナオちゃんはいますか?」「あっナオですか。ちょっと待っててください」そのあとまたガチャっと音がしてしばらくシーンとしていた。そしてガチャッと音がなってドア開き、中からパジャマ姿のナオが眠そうに目をこすって出てきた。「あら~、イズミ。ふぁ~どうしたの?ふぉんな時間に、いきなり弟が起こしに来てさあ・・・もうすふぉし静かに起こしにくればよかったのに」ナオが話し終わったときイズミは大急ぎにナオの体を揺らして夢のことを話した。「え~?夢の中でそんなことがあったの?証拠は?」そういうとイズミは自分のポケットから枕もとに置いてあったメモをナオに見せた。字はとても丁寧な字で綺麗だった。

ナオはおきてしまって目が覚めたので仕方なくついていくことにした。でもいく前にナオはいったん家に戻ってしたくをしようとした。「あ!まって。戻る前にナオのもってるフルートももってきて」イズミがいった。そしてまた来ると、おにぎりを袋に入れてあるのをもって一個イズミにあげた。でもイズミはお腹がいっぱいなので遠慮した。すると仕方なくナオはそのおにぎりを食べた。そしてメモを見た。まずはイズミの家からスタートだった。「えっとー、まずはこの家から出たところから見て左側へ一直線に歩いて三つ目の分かれ道で右に曲がって・・・・・・」なんだかすぐ間違えそうな複雑なルートだった。しかも途中ではなんと、ビルとビルの間の狭い道を体を横にして歩いたりして裏口などを進んでいった。そして歩き始めて約、1時間。やっと目的地に着いた。都会にこんなものがあったのか!?と思うくらいビックリするような、大きな扉があった扉の周りには何かの草の蔦が一面に不気味にへばりついていた。扉には大きな錠前がかかっていて鍵穴が無く、開きそうにはない。そのときナオは錠前に何かが書いてあるのに気づいた。でもどんなに目をこらしてもなんて書いてあるか分からなかった。そのとき扉の左側の方の蔦の一部から四角に黄色い光が光りだした。イズミがそっと蔦をかき分けると金色の鉄板が壁にはめ込まれていた。おもいっきりはまっているのでとることは出来なかったがここにもなにかが書かれていた。どうやら音符のようだった。「これは、私のもってるフルート用の音符じゃん。ちょっと吹いてみるね」そうナオがいうとナオはバッグからフルートを取り出して、音符を見ながらゆっくり吹いた。聞いたことのない曲だった。曲が終わると2人は不思議なことに、錠前に書いてあった文字が見えるようになった。錠前にはこう書いてあった。『この錠前を開けるには、下に書いてある曲を奏でよ』さっそく2人は錠前の下を見てみた。ナオはその音符を吹いてみた。すると、ガチャッと音とともに、錠前が外れた。そしてゆっくりと扉が前に開いていった。中に入ると両側に数本ろうそくが灯っていて、一本の道が見えている。洞窟のようなところだった。ずっと歩いていっても先は見えなかった。「ねえ、なんかおかしいんじゃない?私たちもう1キロは歩いたわ」ナオが疲れた声で言った。「確かにね。じゃあ少し休もっか」そして近くにあったでっぱった岩に2人は座り込んだ。「はぁ~疲れたな~一体この先には何があるっていうんだろう・・・・」そういいながらイズミは目をつぶって後ろによっかかった。すると後ろで何かを押す音がしたかと思うと地響きが起こった。「な・なに!?なにが起きたの?」ナオが辺りをキョロキョロしていると、急いでとまどってるイズミをもと来たほうに目を向かせた。その先には丸い大きな岩ががこっちに向かって転がって来ている。「や・・・やばい・・・は・・・・早く逃げなきゃ!?」そして2人は思いっきり走った。少しでも走るスピードを落としたら、後ろの岩につぶされてしまうぐらいだった。「のぎゃあああ!!死ぬ~~~~!」叫びながらどんどん2人は先を進んでいく。そしてとうとう先の道が変わった。こんどは百メートル近くはある長い橋があった。迷わず二人はその橋を渡った。だが岩の重さで橋が耐え切れなくなり橋が切れてしまった。岩は先の見えない谷に落ちたものの、ギリギリに橋のさきにたどりついたナオは落ちそうになっているイズミの片手を必死につかんでいた。「だ・・・大丈夫よ・・・あと・・・もうちょっとで・・・・っくうう!」そういってやっとイズミは助かった。「・・・ふう・・ありがとう・・・あんたは、最高以上の友達だよ」「いえいえ・・・はぁ、はぁ・・・危ないとこだったねえ」そういって2人は再び先にむかって歩いていった。「どこまで続くんだろう・・・・・」「分からないね~」2人の会話が洞窟じゅうに響き渡った。そして少しずつ声が小さくなっていき、やがてジャリジャリという足音だけになった。  しばらく歩いていると洞窟の横幅と天井がどんどん広くなってくる。そして大きな扉が見えた。扉には不思議な模様が浮き出ていた。「この扉・・・・・入るんだよね」「うん・・・・そうみたい。」

そして2人は一歩ずつ前へしんちょうに歩いていった。扉の前までいくと扉が、ギイイと音をたててゆっくり内側に開き始めた。開いている扉の間からは虹色の光が漏れ出している。全部が開き終わるとそこには虹色に輝いている大きな、大きな城がたっていた。                             続く