その日のお昼、ちょうど冬休みだったのでイズミたちはドランを埋めに行くことにした。お母さんはここら辺だと見つかる可能性が高いといってあるところへ連れて行った。あるところといっても部屋の中だった。 そこはただの物置だった。物置のドアの前に来るとお母さんはポケットから黒いチョークを取り出して、ドアに大きく一筆書きで星を書いてその星の中に読めない字を書いた。そして手で印を作って何を言っているか分からない呪文を言った。するとチョークの部分が光ってゆっくりと消えていった。お母さんはゆっくりドアを開けた。ゆっくりと開くドアの間からは光が差し込んで全て開き終わると、ドアの向こうはなんと広い草原が広がっていた。「え!?なんで?ありえないよ!物置場所がこんな広い草原に?」イズミはビックリしてもう少しで転んでしまうところだった。「ふふーん、すごいでしょー。ここなら誰にも見つからないし毎日これるように印をつけとくわ」お母さんはそういうと先に進んでいった。草原で春が来たように温かい風が吹いていた。お母さんは、ここら辺でいいかしら、といって止まると手のひらを地面に向けた。すると丸い黒粒が地面に現れて一気に大きくて細長い穴が空いた。ちょうどドランが入るくらいの大きさだった。皆はドランをその穴の中に静かに入れた。そしてまた元に戻そうとした時、キュランが何かに気づいて埋めるのを止めた。「なあ、ちょっと埋めるのまって!兄さんの手の中に何かある!」キュランはドランの手を開けた。すると手紙と小さな箱があった。手紙を開いてみるとこう書いてあった。


キュラン、イズミさん達へ

こんにちは、皆さん、どうもお世話になりました。イズミさん達にとってはたったの二日くらいでしたがとても幸せな気分になりました。イズミさんが買ってきたドリームキャッチャーのおかげでしょうか。父さんたちにもこのことをお伝えしときます。

キュラン、お前との12年間はとても楽しかったぞ。辛いことさせちまって本当にゴメンな。

俺はもう俺の形のままでは帰ってこないけどきっといつか他のやつに生まれ変わって戻ってくるはずだからもしそいつが俺に似ていたら声をかけて仲良くしてくれな。これはお守りだ。大事に使えよ。

じゃあ今度俺の墓参りに来た時にお前の話とか聞かせてもらうぜ。 じゃあな。

ドランより


それを見たキュランの目からはたまっていた涙が自然にポロっと流した。そして箱を開けるとキュランはとうとう大泣きしてしまった。そこにはキュランの両親とキュランとドランが映っているフタ付きのペンダントが入っていた。

「うう・・・兄さん・・・ありがとう・・・兄さんが死んじまったとき、本当にオレはもう兄さんに会えないかと思っていた。だけど今やっと分かったよ兄さんはいつもオレの近くにいるんだよな。そして今もオレのことを見てるんだよな。なら・・・・・」そこまで言うとキュランは顔を上に向けていった。「オレは泣かない・・・・兄さんにみっともない姿見せたくないからな・・・・」キュランはそういっていたが実際にはすこし涙と鼻水が流れていた。

「我慢しなくていいよ・・・・」そのときイズミが少し震えた声で言った。「こうゆう時は思いっきり泣いていいんだよ。我慢しなくたってキュランはかっこいいよ・・・」そしてそれを言い終えた時イズミは大泣きした。キュランと同じくらい・・・・。(同情してくれるのか・・・?なんだろう・・・この気持ち、すごく胸がいっぱいになる・・なんだかいろんな気持ち溢れるほどでてくる)そう思うとキュランはわっと泣き出して地面にひざを落とした。

お母さんはそれをみて涙をこらえてドランを地面に埋めた。下を向いたときお母さんの目からたまに涙がこぼれ落ちた。そしてドランを土に埋めた後、イズミたちはもと来たドアのところへ戻った。ドアは不思議にまるで遠くから見ると一枚の板が縦に立っているようだった。ドアを開けると元の物置のドアの前だった。

「じゃあいつでもこれるように呪文しといたから、行きたいときはドアを三回ノックしてね」お母さんはそういうとせっせと台所に行った。イズミとキュランはヒクヒクいって部屋に戻ろうとした。そのときリビングにいたラヴィーナが叫んだ。「わあ!み・皆さん大変ラヴィ!」イズミたちは急いで涙をふき取りリビングに向かって走っていった。するとラヴィーナがテレビの横に吊り下げられていたドリームキャッチャーを見ながらいった。

「ドリームキャッチャーが・・・・・」そういって皆がその方向を見ると、たしかに12個あったはずの青い石が十個に減っている。そしてその下を見てみると青いかけらが落ちていた。「まさか・・・・あ!そっかたしかさっきドランさんが持ってた手紙に書いてあった文章にドリームキャッチャーが書いてあったから、それのこと!?」

イズミがビックリしていった。「そっか・・・・ありがとな、イズミ。お前がドリームキャッチャーを買ってきてくれたおかげで兄さんとオレの願いが叶ったんだな」キュランはそういうと微笑んだ。そしてイズミも微笑んだ。

そしてその日の夜の光る雪の奥にサンタクロースのシルエットが月の影で見えた。鈴の音とともに。

続く