イズミはブレスレット(バトルコスチュームに変身するためのもの。仲間を呼ぶこともできる)で仲間を呼ぼうと呼び出しボタンを押した。だが何度押しても応答がない。するとキョロキョロしていたお母さんが言った。
「どうやら、バリアを貼っているみたいね。この様子だと、この公園中に貼っているみたい」「そんな~・・・」
そうこうしている間にドランはどんどんやられていく。(兄さん・・・・兄さん!!くそう・・この檻さえなけりゃ・・)
キュランがそう心の中で叫んでいるとき、キュランの中で何かが光だし、優しい声でささやいた。(私が彼方の力になって差し上げましょう・・・・)そういうとキュランが誰?と言う前にキュランの体から自分でコントロールが出来なくなるほど強い力が入り、ものすごい速さで毒のある檻を壊してイズミたちの檻も壊した。イズミはありがとうと言ったが、キュランは聞こえていないらしくそのまま走っていった。そのときのキュランの周りには黄色い光が燃えるように光っていた。グランはキュランをみて恐ろしくなり大量のコウモリを呼び出した。そのコウモリの量は公園にたっていた電灯の光さえもコウモリたちの影で見えなくなるぐらいだった。そしてそのコウモリたちはキュランに飛んでいった。だがキュランの周りにある光で跳ね返されてしまった。コウモリたちは仕方なくキュランをあきらめて今度はドランの方へ向かっていった。ボロボロにされたドランはコウモリたちには気づいたが力が入らずどうすることも出来なかった。そのときイズミたちがきてドランを襲いかかろうとするコウモリたちを次々にクナイなどで斬りつけた。「大丈夫、今すぐコイツらを片付けるからね」イズミがコウモリたちを攻撃しながら言う。「あ・・ありがとう」ドランが言った。そのときキュランはグランの方についてグランの全身を後ろから思いっきりつかんで言った。「なんで・・・なんで疑うんだよ。兄さんは本当のことを言っていたのに・・・・」どんどん力が強くなりグランの骨がボキボキと音を鳴らし始めた。「ぐあああ!!」グランの叫び声が鳴り響いた。その声で皆が止まった。その瞬間にコウモリたちがイズミたちを押さえた。そして静かになったところで小さくキュランがグランの耳元でささやいた。「お前なんか・・・・地獄に突き落としてやる・・・・」そういった瞬間キュランの歯は一気に伸び、素早くドランの首元を噛み付いた。「うあああああ!!!ぐぐ・・・・」グランの叫び声が再び響いた。今度はもっと長かった。するとグランの体がどんどん細くなってとうとうミイラのようになってしまった。キュランはミイラになったグランをはなした。グランは灰になって消えていった。それと同時にコウモリたちも消えていった。そしてドランも倒れた。キュランは真っ先にドランの方へと走っていった。ドランの体はところどころに切り傷や噛まれた跡があった。だがかすかに息はあった。キュランは傷ついたドランを抱きかかえながら言った。「兄さん・・・・いくなよ・・な?」そういった瞬間雪が降ってきた。その雪はなんだか少し光っていた。「あ!雪だ。しかもなんかもう明るいし・・・」公園の時計はもう6時になっていた。雪がドランにかかったときドランはビクっとなって言った。「この感じは・・・まさか・・」そういうとドランはゆっくりと目のところに巻いていた包帯をとり始めた。すると皆はドランの顔を見てビックリしていた。なんとドランの死んだ魚のような白い目が澄んだ黒い目に戻っていた。「戻った・・・戻ったんだ!元の黒い目に・・ちゃんと見える・・キュラン大きくなったなあ」ドランはそう言いながらそっとキュランの頭をなでた。「兄さん・・・良かったな・・・オレすげえ嬉しいよ」キュランの声が涙声になっていく。「いいよ・・我慢しなくて・・・ゴメンな、せっかくお前の顔が見えるようになったのに、だけどもうすぐで迎えが来ちゃうんだ。オレももっとお前と一緒にいろんな思い出話をみんなの前で言いたかったなあ」「オレの思い出話は一夜は続くぜ・・・・」2人とも涙ぐんでいた。「イズミさんたち、どうもオレの面倒をみてくれてありがとうございます。イズミさんたちはとてもお美しいですね」イズミたちは照れた。「さて、オレはもうこれで充分幸せだ。お前の顔も見れたし・・・・・そろそろお別れのようだな・・・」「そ・・そんな・・・兄さんいかないくれよ・・・兄さん・・・」キュランはとうとう大泣きしてしまった。ドランはそんなキュランを見て優しくなでて言った。「ゴメンな・・・本当にゴメンな、だけど父さん達のとこへ・・・・いったらお前のことを・・・・・自慢するからな。」ドランの言葉に途切れが入ってきた。「あい・・・・して・・・・る・・・キュ・・・・ラ・・・ン」そしてドランは静かに目をつぶった。「兄さん・・・うう・」キュランは頭に乗っていたドランの手を持ってゆっくり下ろした。「にいさーーん!!」キュランは叫んだ声がかれるくらいに。イズミはキュランをみて、(なんだろう自分では経験したことないのに同情して涙が溢れてくるよ・・)と思って泣いていた。そしてキュランをなぐさめた。「キュラン、大丈夫だよドランさんはきっと目に見えなくても近くにいると思うから・・・・・」涙声だったけどイズミは涙をこらえていった。
そしてイズミたちはひとまずドランを抱えて家に戻ることにした。
そのあと広場に男女2人がきてグランの灰を持って女がいった。「グラン、お疲れ様」まだ十五歳ぐらいだった。「結構グランは強かったんだがなあ。流石、光の力を持ったやつだ。じゃあ立夏(りっか)、そろそろ行くぞ」男が言った。そして2人はどこかへ消えていってしまった 続く