そしてドランとキュランが何故、神野家にやってきたのか、キュランはイズミにその理由を話した。

それはオレ(キュラン)が6歳(今はイズミと同い年)の時のことだった。そのころはオレたち四人家族の吸血鬼は幸せに暮らしていた。
まあ吸血鬼といってもなんてゆうか、オレらの吸血鬼は進化していって二週間に1回血を吸えば生きていけるんだよ。まあ今の話はただの豆知識ということで、話の続きはそんなオレたちが幸せに暮らしているある日のこと、オレが兄さん(ドラン当時12歳)と一緒に外で遊んでいるとき。たしか十二時から三時までだったかな、オレと兄さんはおやつを食べに帰った。だが家に帰るといつもならドアの開けて「ただいまー!」とオレたちが叫ぶと台所から母さんの声が聞こえて来るというのにドアを開けても中はシーンとしていた。兄さんとオレはちょっ恐怖感を持って恐る恐るゆっくりと中に入っていった。兄さんは、「大丈夫だぞ。多分、母さんは疲れて寝ているんだよ。静かにさせてやらなきゃダメだぞ。キュラン」兄さんはオレに顔を向けてそういって進んだ。そのころの兄さんの目はまだ見えていた。そしてオレたちがリビングについたときオレと兄さんは一瞬にして顔が青ざめてしまった。リビングには血まみれになった母さんと父さんが倒れていた。オレは、あああ・・!といって泣いてしまった。「見るな!!キュラン!・・・いったいなにが起きたんだ?と・とにかく今すぐここから逃げるぞ!」そして兄さんとオレはすぐさまここから逃げた。だが玄関の前の方までいくと誰かが忍者のように天井から落ちてきた。そこには三人の黒ずくめの男がいて、一人がいった。「お前も、ここ家族のやつらか?」兄さんは恐怖心でいっぱいで何も言わずオレの手を引っ張って逆方向の裏口に走っていった。オレは怖くて後ろを振り返って、1人の男が言った「逃がさんぞ!」男がそういうと両手を胸くらいの高さに上げて何かをつまんで引っ張った。すると兄さんが、「うわああああ!!」と叫んでその場で倒れた。「兄さん!兄さん!」オレは倒れた兄さんを振り返らした。そのときオレは我が目を疑った。兄さんの両目の黒い澄んだ目が白くなって、まるで死んだ魚のような目をしていた。そのとき後ろから三人の黒ずくめの男がゆっくりと来た。「逃げてもムダだぞ。オレたちからは逃げられない・・あきらめろ」オレは完全に怒って噛み付こうとした。だが1人の男に殴られた。ううう・・・とオレは言った。「これまでだな・・・お前も、父親と母親みたいにしてやる」そういって男はポケットから小型ナイフを取り出してオレの目の前に光る刃先を向けた。オレは血の気が引いて脅えていた。「これで最後だ・・・・」そのとき誰かが、いきなりオレを後ろからつかんでオレを背負って逃げた。オレは前にあるオレと同じ髪型の人と臭いで見てすぐに兄さんだと分かった。
「兄さん・・・目が見えないんじゃないの・・・?」オレが言うと、兄さんはこう答えた。「大丈夫だ。オレは不思議な力があって目が見えなくてもはっきりとは見えないが、体温みたいな感じの色で判断できる。まだお前には良く分からないだろうが・・・と・・とにかくここから逃げるんだ!ここにいたら母さんみたいな姿になってしまう!」兄さんは今まで以上に早く走ってそして何とか逃げ切れた。そのあとオレと兄さんは孤独な日々を送っていた。両親を亡くした悲しみと何故オレらを狙うのか。そしてそれからオレと兄さんの逃亡生活が始まった。
そして去年にここの情報が入り、オレたちはとにかく探し続け、なんとかここへこれた、というわけだ。            続く