本年度の麻布中学入試で出題された問題が少し話題になっています。
http://mamapicks.jp/archives/52103298.html

この問題自体について色々と意見はありますが、コンサルタントだったらどう解くの?という所に応えたいと思います。

■問い
右図は、99年後に誕生する予定のネコ型ロボット「ドラえもん」です。この「ドラえもん」がすぐれた技術で作られていても、生物として認められることはありません。それはなぜですか。理由を答えなさい。

■大手塾の模範解答
大手中学受験塾・四谷大塚による模範解答は、
「自分が成長したり、子を作ったりするという特徴がないから」

◇◇筆者の解答・思考◇◇
論理的に考えるに当たり最初に大切なアプローチは、「答えるべき問い(問題)」は何かということをはっきりと定義することです。
そのために与えられている前提を整理しましょう。

・前提
①ドラえもんは、ネコ型ロボットである。
②優れた技術で作られている
③生物として認められていない


②はかなり曖昧なので一般常識レベルのドラえもん情報を補完する必要があります。
話す・学習する・どら焼きを食べる・感情表現豊か 等・・


ここから答えるべき問いを少し変えてみました
・問い
ほとんど人間に近い性質を持つロボットのドラえもんでも、生物として認められることはない理由はなにか?

ロボットがどんな技術進歩(ドラえもんレベルで)したとしても生物とは言えない理由は何か?

ここまで来るとドラえもんに無くて生物に無い性質を列挙するアプローチが解答としては楽そうです。大手塾の模範解答もここからきているのではないかと思います。

但しこれで終わっては面白く無いのでもう少し踏み込んで考えて見ましょう。
それは生物って何かというところへの考察です。
生物は単細胞生物から人間のような複雑な機構をもつ生物まで様々います。
ただ共通する特長は遺伝子を持つことです。
遺伝子を持つこととはつまり、環境に順応するために自己を含めた数世代かけて新たな形質(特徴)を獲得することです。
つまり自己数世代かけて自ら進化・退化をする形質をもつのが生物といえます。
ドラえもんは遺伝子によって設計されていないし、ドラえもんの遺伝子が後世代のロボットに直接受け継がれることはありません。

あとは単純に、無機物・有機物の違いを指摘してもいいかもしれませんね。





日本人にとって、切っても切れない春の行事といえば花見。
ある自治体では早咲きの桜が有名ということで、毎年多くの観光客が訪れるそうですが、気候の変動によって開花時期が遅れることもあり観光業に従事されている方の声を聞き、開花促進剤であるシアナミド液剤を散布して、早咲きになるように調整しているようです。
http://www.at-s.com/news/detail/474561923.html

シアナミド・・・どこかで聞いたことある成分だと思ったので調べてみました。
(一応、筆者は薬剤師免許保持者です。)

実はこのシアナミド、アルコール中毒の方に禁酒を目的に処方される薬です。
どうやって?という部分ですが、わかりやすくいうとお酒を飲むと100%ひどい二日酔いになるという作用でお酒を飲む気をなくさせるという効果があるのです。
ひどい二日酔いの時って、一生お酒を飲むものかとおもいますよね?
お酒の酔いの元はアルコールですが、アルコールが分解されるとアセトアルデヒドという物質に変わります。
このアセトアルデヒドという物質が、二日酔いの原因です。
アセトアルデヒドは体内で、酢酸へと分解、次に水と二酸化炭素に分解されます。
このアセトアルデヒドから酢酸へ変化するのを、シアナミドが妨害します。
どんどんアセトアルデヒドが溜まっていき分解されないわけですから、どんどん気分は最悪になっていきます。

人間に対してはそのような効果があるシアナミドですが、植物に対しては肥料として様々な作用があるようです。

ニュースとなっている桜の開花促進以外にも、ぶどうの休眠覚醒効果等様々な効果があるようです。
植物の体内では、人間とは違う作用機序によって、全く違う効果が現れてくるというのは、生命の不思議ともいえますね、

このシアナミドは、毒物として規定されている薬剤でもあるので、桜の開花促進で使う際にきちんとした使用をされていればいいのですが。

農薬から医薬品に至るまで、使用法を誤れば毒物として人体に害を与える可能性は非常に高いです。皆さんも安易に使用したり使用方法を無視しないようにして下さい。








日の丸製の炭素繊維を使い、大きな期待をもって市場に投入されたボーイング787機が相次ぐトラブルで、1月16日とうとう全日空・日本航空共に同型機の運用を一時停止するという流れになりました。
国交省「重大インシデント」認定 787緊急着陸
全日空・日航、787全機の運航停止
2013/1/16 13:37


正直、なぜ最新鋭機と呼ばれるボーイング787の機体がこれほど不具合が生じているのか理解できないかたも多いのではないでしょうか。
ボーイング787は、世界中の有数メーカーから最新素材や機構を結集され作成されたまさに夢の飛行機”ドリームライナー”です。

そんなドリームライナーが、今やバッテリーの発熱や、燃料漏れなど様々な不具合が生じています。

一流の設計者、一流の技術者、一流の部品が集まってできた、一流のプロダクト(飛行機)が、このような事になってしまうというのは矛盾だと言われますが、実は、ビジネスの現場でも有りがちな事です。

例えば、国家公務員といえば、難関の国家公務員試験をパスしたエリート達です。彼らのほとんどが有名大学を卒業し、高い志をもって入庁します。彼らの大多数が日々懸命に働いているのは間違いありません。そして、彼らのトップは、内閣総理大臣から選ばれた日本国民を代表する大臣です。個々の能力にはばらつきはあるものの、大臣にはそう簡単にはなれません。努力の方向性は様々だけど特別な人には変わりないのです。

一流が揃っているにも係わらず、組織としての機能が極めて低く、結果として評価が高くないのが、中央省庁です。
個々の思惑や、思想、利害関係、個性など1つにまとめると大きな齟齬が発生してしまっているのが原因かと思います。筆者も、中央省庁の一角にコンサルタントとしてお仕事を一緒にさせて頂いていましたが、彼らは間違いなく優秀です。それでも、組織病という病にはおかされ、大臣には振り回され、国民からの標的にされる内に疲弊していくわけです。

大手の企業でも同じ現象が起きています。
一人ひとりは優秀な人達ばかりだけれども、評価制度があわない、人間関係があわない、社内政治でつまづいた等に加え、頑張っても報われないから頑張らないというスパイラルに入り、力が発揮できていないという状況が発生しています。そして、企業の業績が思った以上に上がらない、予定していたプロジェクトがどんどん延期になるということが起こります。

このような事から言えるのは、個々のパーツの優秀さじゃなく、個々それぞれに足りないところがあっても全体としての完成度が高くなるような組織設計・モチベーションの誘導ではないでしょうか。個々が自分が足りないから頑張らなきゃ、と思って皆の為に頑張ろう!と心に決めて動くと優秀な人が集まる組織にだって勝てるのではと思います。