「じゃあ行ってくるわね恭弥」




「すぐ帰ってくるからな」




――――――うんっ





そう言って見送った冬の夜。




覚えてるのは・・・




「・・・や・・・恭弥っ」




「ぇっ・・・」




昔 の 夢 を 見 た





「どうしたんだようなされて・・・」




「・・・・夢・・・」





鮮明に思い浮かぶ




昔の記憶・・・




必死に脳内から末梢していたって言うのに




こういうことに限って忘れない・・・





「何の夢なんだ?」




―――――・・




ずっと忘れたかった・・・




「・・・両親」




「ぇっ・・・」




「もう知らないけどね」





「恭弥の両親か・・・・気になるなー」





「・・・・・」





あの冬―――――――









――――――――――――・・・





「どこに行くの?」




「ちょっとパパとお出かけよ」




「ふーん」




僕はたぶん5歳くらい。




優しい両親。




その日の外は雪が降ってて




窓からのぞく景色は綺麗だった。





「お土産に何か買ってきてあげるわよ」




「そうだな。何がいい?」




「お菓子がいいっ」




「はいはいw」




そう言って




温かい手で僕の頭をなでたのが




最後。





「いってらっしゃい」




そう言って。




両親が僕を邪魔だと思ってることも知らずに




笑顔で見送った。




両親も笑顔で手を振って




ドアが閉まる・・・





それから何時間たっても帰って来なくて





僕は気づいた。





「僕は・・・いらない子だったんだ・・・」




僕は邪魔だった。




だったら他人なんて信じるだけ無駄だ・・・





信用なんてなんの力にもならない。




だから僕は強さを求めた。





絶対に裏切らない己の力を・・・・




信じるのは自分だけ。





もう誰も




信じない―――――――――――








「・・・・・恭弥・・・・」




「・・・悪かったよ。昔話に付き合わせて」





「じゃあお前の両親は・・・・」





「さぁね。探す価値もないよ」





「・・・・・・」





可愛そうだとか




酷い親だとか





そんなことはもう聞き飽きた。





だからこの話はほとんどしていない。





そんな言葉だけで




僕の事を理解したような口ぶりになる・・・・




だから弱い人間は嫌いなんだよ・・・






群れていればどうにかなるとか思ってる。




軽々しく他人を信じる・・・





だから弱いんだ・・・・





だから・・・・






「群れる奴等は嫌いなんだ」





そう言ったとき




後ろに温もりを感じた。




僕の肩にかかる金髪・・・





「何?・・・」




「・・・・・・」





「同情の言葉とかはやめてよ・・・」




「・・・・・」





ディーノは





何も言わなかった。




意味分からない・・・




後ろから抱きついて




僕の背中で泣いてる。




なんで貴方が泣くのさ・・・





「・・・・なんで泣くの?・・・」





「・・・お前が泣かないから・・・」





「なんで僕が泣かなきゃいけないのさ・・・」





「・・・強がるなよ・・・もう・・・・」





強がる?




違う




僕は・・・





「強がってなんかいないよ」





「俺はお前が大切だから」





「・・・・・」





なんだよ急に・・・・





急に僕のボタンに手をかけて・・・





床は冷たい―――





「俺はお前が大切だから・・・



 他人を信じないとか・・・そういうこと言うな・・・」







残念ながらそれはムリな要望だね





これは僕の信念だ





死んでも曲げる気はないよ。





「ぁッ//・・・・・っ///・・・・」





「まぁこう言ってもお前は聞かないんだろうけど・・・」





「っ//・・・よく・・・わかってるじゃないかい・・・」





貴方は小さく笑って




僕を快楽へと誘う―――――――





「ぁ/・・・・ぅ//・・・」






僕をこれだけ魅了して





僕をこれだけ貴方の色に染めて




僕を快楽に突き落す君は・・・・






「・・・・信じて・・・いい・・・かもね・・///・・っ//・・・・」





「当然だろ」





嗚呼・・・・





やっぱり気に入らないな・・・




でも・・・・



それでも




僕は君を信じてみるよ・・・・





僕の人生でこれっきりだから




感謝しなよ・・・・





「嫌なこと全部・・・貴方が染め直してよ・・・」





「ああ」




すべてがあなたの色に染まるまで





あとどれくらいだろう・・・・




僕は気が長いほうじゃないよ




だから




僕が逃げないように





ずっと



 傍

 に

 い

 な

 よ





僕に寂しい思いなんてさせたら





咬み殺すから―――――






END

校舎の屋上。



他生徒は授業中の昼過ぎ、




雲雀は学ランを冷えたコンクリートの地面に敷いて、




その上に寝そべっていた。




「・・・暇・・・」




ディーノがイタリアへ行って数か月。




当初は面倒な相手がいなくてせいせいしていた雲雀だったが、




意志とは反し、




気づけば強く思っていた。




ディーノに会いたい と。





そのとき、




不意に目の前の青空を遮る物が現れた。




「ぇっ・・・」




「よぅ。お暇なようですね~お姫様」




冗談交じりにそう声をかけるのは




ディーノ。




「・・・何しに来たの?」





「おいおい;;せっかく仕事片付けて日本まで来たってのにその言い方はねーだろ;;」





「貴方が・・・仕事を終わらせた・・・ね・・・」




「信じてねーだろ!;;俺だってちゃんと仕事してるんだぜっ」





言い分通り、ディーノはイタリアでの長期の仕事を必死に終わらせ、




急いで日本へと足を伸ばしたのだ。





そんなことは聞かずとも分かる。




雲雀は、それがとても嬉しかった。





でも、素直な言葉の1つも出ず、




連れないことばかりを口にする・・・





「それよりお前。


 今って授業中じゃねーのか?」




「知ってるよ。なんで僕が授業に出る必要があるんだい?」






「お前なー;;何年だ?ちゃんと勉強しろよ」





「さぁね。僕に勉強なんて必要ない」





溜息と同時に吐きだした台詞。




そう言いながらゆっくりと体を起こした。




立ち上がると、冬らしい冷たい空気が肌をかすめる。




「・・・寒い」




「そんな薄着だからだろ;;」





雲雀はディーノをチラリと見ると、




一瞬迷い、




無言のままデイーノの上着を自らにかけた。





「ぇっ」



「寒い」




雲雀なら上着ごと奪ってしまいそうだが、




ディーノが身につけたままの状態でかける。





「寒いなら貸すぜ?風邪ひくし・・」




「いい」




「は?」



「・・・このままでいい・・・」




雲雀自信も、なぜこのようなことをしているのか分からなかった。




でも、



ただ目の前の温もりに甘えただけか・・・




それとも・・・





「なんだよ。恭弥さては俺がいなくて寂しかったか?w」





「うるさい」





「ぇっ図星?!」




「うるさい」




雲雀があまりにもアッサリと切り捨てるため、




一瞬の無音が訪れる。





その場で先に口を開いたのは




雲雀・・・。





「僕はただ・・・寒いだけだよ・・・




 僕が寒いって言ってるんだから貴方は黙ってればいい・・」





「・・・はいはい。我儘なお姫様でございますねー」





「・・・・・」





精一杯の悪態のつもりだったのだろう。




ずっとこのままでいたいが為の・・・・





しかし、




それはすぐに見破られるだろう・・・





ディーノの上着の中で




外の空気をあわず、




ただただ頬を染める





姫の姿を見れば――――――――――







END

「なぁヒバリ」



「・・・何?」




「熱あるんじゃないか?」




午後の風紀委員室。




部活が休みとあって、山本は恋人の元へと足を運んでいた。




はたから見れば、何も変わらない様子の雲雀・・・




だが、人の変化に気づきやすい山本は、





微妙な雲雀の変化に感づいたのだ。





「熱?・・・」




「ああ。なんか顔赤いから・・・」





雲雀は自らの額に手を当て、熱を計る仕草を見せる。





「・・・確かに頭は痛いけど熱は・・・」




「どれ?」




グッと身を乗り出した山本は、




雲雀の額と自らの額を接触させた。




コツッと軽い音がする・・・





「・・・・・・・・//////っ?!」





その当然のような行為に、




雲雀は頬を真赤に赤らめ、目を見開いた。





「んーー・・・やっぱ熱ある・・・」





「なっ・・・・///何してるのキミっ!//」





「何って・・・?熱・・・」





「なんで頭を合わせる必要があるのさっ//」





「ぇ? ・・ぁ、もしかしてヒバリ、ドキドキした?w」





「なっ・・////・・・・」






それは、




直球に来る、図星―――――





「そんなわけないっ」





心を見透かされたように、




突如そう言われた雲雀は、




完全に否定することができない・・・・






そんな雲雀の様子があまりにも愛らしく、




山本は小さく笑みを見せる。




「なぁヒバリ知ってる?」





「・・・なに?」





「熱って、汗かくと下がるんだぜw」






「ぇっ・・・」





真赤な林檎のような黒ネコは、




流される―――――













――――――――・・・




「ほんと真赤w大丈夫かよ?;;」





顔が赤いのは、




熱のせいだけではないと悟っていながら、





そう山本は口にする・・・





「ぁっ///・・・ハ//・・・・・っ//・・」





熱があった雲雀には抵抗する気もなく、





ただ、




流される――――――





「っ//・・・・・ぁ//・・・ん//・・・・」






雲雀の額は、




汗によって前髪が張り付く・・・




山本はそれをそっと指ではがすと、




雲雀の潤む瞳を見つめた。





「ど? 熱、下がりそう?」




「・・・・悪化しそう・・・」





甘い吐息を出し続け、肩で息をする雲雀の




最大の悪態・・・・





実際雲雀は、熱など感じられなくなるほど、





快楽に墜ちていた―――――






「でも・・・///・・・それも悪くないよ・・・」





「ん?」





「ハッ//・・・キミに・・・看病してもらうから」





「ぇっ?」





普段、まったく甘えたところを見せない雲雀が




突然こんなことを言い出し、





山本は返答に困った。





「不満?」




「いやw任せとけw」






雲雀の熱より上がるであろう、




2人だけの





恋の熱―――――――――






END

どんなに力があろうと




どんなに権力を持とうと




どんなに愛する人がいようと




不安になる――――




こんなに広い部屋に1人でいると




いつか消えちゃうんじゃないかとか




ここは本当に自分がいるべき場所なのかって




不安になる・・・







「白蘭さんっ」




「んー?」




「どうかしたんですか?」





正チャン鋭いな;;・・・




正チャンは、




人の心が読めるみたいに、すぐに何かを察する。




「なんでもないよw」





「そうですか?・・・」




正チャンだって




今はこうやって恋人として傍にいられるけど




この幸せがいつまでも




永遠に続くとは限らないんだ・・・





永遠なんて理想は、




ただの戯言・・・





「やっぱり体調悪いんじゃないですか?


 さっきからうつむいて・・・」





それに分かってるよ正チャン・・・




キミはじきに




ボンゴレに寝返って僕を裏切る―――――




正チャンはきっと、




自分の正しいと思った道に進むと思う・・・





だから、



じきに敵になるだろう人間なんだ・・・・





「ねぇ正チャン・・・」




「はい?」




「あのさ・・・」





「なんですか?」




「ぇっと・・・・」




「・・・?」





あれ・・・?



僕は何を聞こうとしたんだ?




いつか僕を裏切るかとか?




ボンゴレなんかに味方しないでとか?




・・・




自分の意志が分からない―――――





「ねぇ、僕の事、まだ好きでいてくれてる?」




「はっ?!//なっ・・・なんなんですか急にっ//」




別に意味なんてない。




なんだか不安が紛れるような気がしたから・・・




「いいじゃん。答えてよw」




「・・・・////・・・・」





正チャンは顔を真っ赤に染めて、




すっごい可愛い。




手放したくない・・・




「・・・好きですよ・・//・・・・」




「よかったw」




「なんなんですかもう・・・・///・・」





「じゃあもう1個質問」



「今度はなんですか・・・?」





正チャン・・・




「僕を裏切って、ボンゴレに寝返ろうとか考えてたりする?」




「ぇっ・・・」




・・・当たりか・・・




正チャンは少し焦った表情を見せた。




もしかしたら、僕の早とちりだったらなっていう淡い期待も




理想に消える。





「ぇっと・・・・んっ//?//・・・・」




聞きたくないよ。




言い訳を聞くのは心苦しい。




僕は正チャンに唇を重ね、言葉を遮る。




「ごめんねw冗談だよw正チャンが困った反応するのみたかっただけw」




「じょっ・・・冗談キツいですよ白蘭さん;;」





今はこれでいい。




これでいい・・・・




じきにボンゴレがここに攻め込むときがくる・・・




それまで・・・




それまでは・・・




このままでいたい―――――




永遠なんて望まないから・・・




だから







――――――・・・・





END

「テメーもうちょっと素直になったらどうなんだよ・・・」




素直?・・・・




そんなこと考えたこともなかったですねー・・・




「余計なお世話ですー」





素直だとか、



そんなこと考える余裕なんてない―――





ミーは先輩達に連れてこられるまで、




何も考えず、ただのんびり生きてましたから・・・





初めて先輩を見た瞬間の感情を




その時のミーには表現できませんでした。





なんせ、人を好きになるんて感情、




持ったことないですからねー・・・





「可愛くねーな・・」





でも、今ならはっきり分かります。




恋ですね。




こんなアホで我儘ほうだいの駄王子に




ミーは恋をしてるんです・・・





「別に先輩に可愛いと思ってもらわなくても大丈夫ですー・・」




「カッチーン・・・」




好きで好きで大好きだから




素直になるとかいう余裕なんてないんですよ・・・





今はただ、先輩の傍にいるだけで幸せなんですから・・・





「なんでお前そんなに素直じゃねーんだ?


 すでに才能じゃん?」




でも先輩は




どうもそれだけじゃ物足りないらしいです。





「・・・そんなんだと・・・俺お前の感情に自信なくなるんだけど」





ほら・・



こうやって誤解を招く・・・




「ミーの感情ですか-?」




決まってるじゃないですかー・・・




口では言えないくらい、




先輩の事好きですよ・・・




「お前、俺と無理して一緒にいるとかじゃねーの?」





「ぇっ・・・?」





「そんな奴といても、俺が疲れるだけなんだけど」





「違っ・・・」




違う・・・



なんて言えばいいんだ?・・・




こういうとき・・・





自分は好きだということを




なんて言って伝えればいいんだ?・・・





ミーは先輩が大好きです・・・




それを・・




どう表現すればいいんだ――――――・・・










「・・・好きです・・・」




「ぇっ」




「ミーは・・・先輩が大好きです・・・本気で・・・」





そうだ。



素直にそう言えばいいんだ・・・





好きなんだから




好きなんだと




大好きなんだと・・・・




自信を持って、そう言えばいいんだ――――――





「・・・・///・・・・」




あれ?・・・




上手く言ったと思ったのに・・・




先輩顔赤くして困ってます・・・




何か・・・失敗したんだろうか・・・・





「先ぱ・・・んっ//・・・・?っ//・・・・」





戸惑っていたら、



イキナリ先輩にキスされました・・・




幸せだったのに




驚きのほうが大きくて




どうしようかとまた戸惑う・・・・





「せん・・・ぱい?・・・」




「・・・最初から・・・それ言え」




「・・・?」





間違っては・・・




なかったらしいです・・・・・




「じゃあ、思ったことはすぐに口にしたほうがいいんですねー」




「そうなんじゃねーの?」




「この駄王子-」




「テんメー・・・殺す!」





あれ?;;




素直って・・・・





難しいです。





END