シガテラ中毒は有毒な渦鞭毛藻類(うずべんもうそうるい)を餌とする小魚が、肉食魚に食べられ、これをヒトが摂取することによって生じる中毒である。渦鞭毛藻類は暖かい地域に多く、地球温暖化によるシガテラ毒魚の生息域の拡大が危惧されている。

ちなみに世界規模で見ると魚介類による食中毒では最多の報告数となっているようだ。

 

志摩沖でも、近年は黒潮蛇行が長期化しておりマグロや鰹が豊漁となっており嬉しい限りだが、高温水によるシガテラ毒が増加しないか心配になる。

 

シガテラ毒について簡単なまとめ

 

 

流行地域でなければ医師も積極的に疑わないので自分で心当たりがある場合は申告した方がいいかも?

僕も消化器症状のみで受診されたら診断できない。(そもそも本州の一般内科医が知っているのか?)周囲で同様の症状と毒魚を食べた病歴か、ドライアイスセンセーションがあれば診断できるだろうか。まあ診断できなくとも自然治癒が見込めることが救いだろう。

 

ではどんな魚に注意したらいいのか?まとめてみた

 

 

ほとんどが沖縄での事例であるが、本州でのイシガキダイによる食中毒の報告が増えてきている。

一般的には同一魚種でも大型になる程シガテラ毒の可能性が高くなる。

 

また食中毒の報告はほとんど見当たらないが、シガテラ毒が検出される可能性のある魚として、

などがある。(東京都のシガテラによる販売自粛対象魚)

 

さらにシガテラ毒素を持つ可能性がある魚は400種類以上が報告されており、上記以外の魚にもシガテラ毒を有する可能性は十分にある。釣りの人気ターゲットであるカンパチやヒラマサ、ロウニンアジなどもシガテラ毒の報告がある。

 

*注意

シガテラ毒は熱に安定であり加熱や冷凍で毒性は減弱しない

沖縄など暑い地域での発症が有名であるが、地球温暖化によるシガテラ毒魚の生育域拡大が予想される。

また発生数については診断されていないだけでかなり多いと言われている。

 

【参考文献】

  1. Halsted BW: "Poisonous and Venomus Marine Animals of the World", vol. 2. U. S. Government Printing Office, Washington, D. C. (1976).
  2. 大城直雅. 魚類の毒(4):シガテラ毒、食品衛生研究 60(1)、2010 
  3. 大城直雅. シガトキシン類に関する最近の動向について. 第49回かび毒・自然毒等専門調査会 2017 
  4. 食品安全委員会. シガテラ. https://www.fsc.go.jp/sonota/factsheets/factsheets_ciguatera_131216.pdf. (参照2022.10.24)
  5. 上條 吉人. 臨床中毒学 .医学書院 2009
  6. 寺田泰蔵. 救急医学. ヘルス出版 2021, Vol45, No12