2ちゃんで「♪水道トラブル5000円、トイレのトラブル8000円ってあるが、お前の体のトラブルは2400円(初診料)だよ? お前の体は便器以下かよ」というコピペが流行っていたが、本当にそう思う。もちろん初診料は各種保険で払っているわけで、人生がサボターシュ戦術のような職業的生活保護生活者のような手合いでもない限りは「正統な権利」であると思うのだが、たしかに体のトラブルがこんなに安く診てもらえるというのは、ちょっと考えてみればかなりありがたいことだと思う。


 この度、めでたくうちのジジイが退院することとなりやがりまして、おちおちせんずりもできやしねえまあ手間は掛かるだろうが、手前のことは手前でできるようになって退院してきたので(階段の上り下りぐらいは可能)、70過ぎて一ヶ月以上意識不明が続いたにしては上出来な回復ぶりだと思う。尤も一ヶ月というのは、肺水腫の治療のために人工呼吸器をつけて安静にさせるため(無意識に体をよじって呼吸器を外したりしたので)麻酔を投与していたのであって、その麻酔が腎臓が悪いせいで排泄されず、随分と恢復までに時間が掛かってしまった。もうちょっと麻酔の種類で何とかならなかったもんかと思ったりもしたが、まあ、目立った後遺症があるわけでもなのでオッケーとしましょう。

 さて、一ヶ月半ほど準ICU室で人工呼吸器+点滴、そこから二ヶ月半完全看護で入院+リハビリ。これでいくら実費が掛かったでしょう。共産党系の病院だったから少し安いというのはあったが。

 勿体ぶるのも何なので答を言うと、10万程度である。四ヶ月完全看護で入院して10万そこらですよ? 実質、おむつなどの消耗品と、食事代ぐらいしか払っていない。というのも、老人保険なので元々請求の1割な上に、身体障害者一級だか二級(要透析)なため月の医療費上限が2万円。その2万円も、北区で補助が出るそうで。そのためほとんど実費ぐらいしか出費がない。(まあ、もちろん見舞いや看護のために時間や労力を割き、また往復の交通費もかかりはしたが。)まあ、これからロクに生産するとも思えない、かといって今まで生産してきたとも思えない老人に、500万近くの医療費補助が出ているわけだ。そりゃあ、赤字も増えるはずである。

 それだけではない。ジジイの部屋は二階にあるため(というか一階は居住空間でない)、階段の上り下りのための手すりの増設をしなければならないが、それも補助で出る。湯船も深いのでリフォームして浅くしたり手すりを付ける予定だが、そのリフォームも8割または15万の安い方まで公的補助が出るそうだ。まったく有り難いことで。財政事情や気が変わらないうちに有り難く頂いておきます。全国の納税者の皆さんスミマセン。

 「これほどの社会保障があるなら、消費税で20%ぐらい取られても文句言えない」、というのが母の感想である。若い労働力というならまだしも、この先緩やかに死んでいくだけの半病人のような父のような老人に対して、ここまで国は援助している。我が国の事ながら、有り難いことだと思う。入院していた病院には「姥捨て山」的に入院させられる年寄りが居るそうで。そりゃそうだよ。入院して三食昼寝付で一ヶ月2万円とかだもん。俺だって入院していたいぐらいだ。ただし、いくら共産党系の病院でも、その手のは三ヶ月で抛り出されるんだと。うちの場合は「リハビリして日常生活をできるようにして帰す」というのが入院当初からあったので、その方針で4箇月も居座ることができたが。(個人的には甘え癖がつくので歩けるようになったら追い出してくれても良かった)

 福祉がやりすぎだから削れと言う気はない。もちろん自分が今その恩恵を受けている側だからであるし、もらえるものを拒否することはない。敗戦の苦難を乗り越えて今の我が国を築き上げた老人達には、これぐらいの感謝は当然である。だが、もう少し削られたり、消費税増税などがあったとしても、文句を言えないと思う。我が国が社会主義だと揶揄されたことを心から実感する。これで「弱者切り捨て」だの「医療改悪だの」と言っている人達は、いったい何処の国と比べているのだろう。