「ぷちナショナリズム症候群―若者たちのニッポン主義」読了。いやあ、批判するための精読とは言え、砂を噛むような作業でした。しかも論ずるまでもない内容でありがっくし。

 45にもなって「あたしリカちゃん」な人がどのツラ下げて社会批判しやがりますか? という疑問はともかく、ダメな点を列挙。

1.精神科医がある社会的現象を、さしたる検証もせずに「〇〇症候群」と命名することの卑怯さ。
2.牽強附会が強すぎる。というか、ある現象について「~ではないだろうか」といった仮定・推測をしたことが、その後の章では既定の事実として話が進められている。
3.要約すると、W杯で無自覚に日本を応援したらぷちナショナリズムなんですと。フランスで言えばルペンみたいな悪い右翼が、そういう大衆を扇動しかねないんですと。へえ。じゃあスペイン対アメリカみたいな第三国同士の試合でも「テーハミングク」とか声援しちゃうようなガチナショナリズムのレッドデビル達は、悪い右翼に扇動されないとでも言うんですかねえ。左右を問わず大衆を扇動する輩がいるという問題と、無自覚なナショナリズムは別個の事象だと思うが。
4.日本人が日本を応援することに疑問を持たないとぷちナショナリストなんですと。じゃあ地元の仙台にできたからという理由で臙脂のシャツ着て楽天を応援する者は差詰めぷちアーバニストとかぷちプリフェクチャリストなのだろうか。自分と関係性の強い集団を応援することになぜ疑問を抱かなければならないというのか。高校野球で地元を応援するのだって、隣に住んでるあんちゃんがスペースシャトルに乗ることになったから喜ぶのだって、いちいち「何故」と考えるのが、インテリでチテキな自分達だって言いたそうだが。
5.通俗。社会学を論じる癖にマスコミの煽りを真に受けるという途方もないバカ。フェイスペイントしてない者はW杯の会場に入りづらい空気があるとかなんとか言っている。アホか。あんなのは、そういう派手な観客がはスコミ写りが良いから取り上げられているだけで、ペイントしてない人も少なくない。というか、現に同書の写真に写ってる5人のうち、ペイントしてるのは手前の二人のみであって、しかもそれは「フェイスペインティングして応援する観客」的な構図の写真なんだから、その手合いが目立つのは当たり前だ。
6.そりゃあ、故ナンシー関は、W杯などで日本人が束ねられるのを嫌うだろう。個人主義者でシニストだったろうから。それに乗っかって、香山もほれファシストの策謀だなどと言わんばかりに騒いでいる。だが、ナンシー関はその束ねられたのもすぐバラけることを予言していた。だがそこは「本当にそうだろうか」などと言ってスルーし、十年一日の「軍靴の音」に怯えていらっしゃる。自分こそ不安神経症なんじゃないの? 

 ナカツカさんは「嫌韓流」を腐してくると思うので、先制的自衛w