まあ、なんとも酷い事件 が起きたものである。80歳と78歳になる痴呆症の姉妹に対して、ボケているのをいいことにリフォーム業者が4000万円相当の(総てではないにせよ)不要な工事を“契約”し、その支払いの形として家を競売に掛けられていたという。


 毎日新聞の報道 では「契約書の中には、業者名が違っても担当者名が同じものがあり、同一業者が名義を変えて契約を繰り返したケースもあるとみられる。」そうで、おそらく新聞のような拡販員が、ボケ老人を見つけてはこのような“契約”を取り、それを業者に回して仲介料を取るという手口だったのではなかろうか。業者にしても、下請けの“仲介師”がそうした足下の暗い連中であることを承知した上での受注だろうから同罪である。
 専門家の話では、「普通は3つあれば十分な床下の換気扇が20~30個つけられていた。不必要な工事がほとんどで、市場価格の10倍以上の値段で行われており、悪質だ」そうだ。近隣住人が様子に気づいて市と相談し、競売は危うく中止になり、市が後見人を立ててなんとかする方向に話が進んでいるとの事で、とりあえずは一安心か。おそらくは契約無効と返金を訴えて裁判となるだろう。市は徹底的に老姉妹に味方して戦って欲しい。

 弊社は「痴呆症」を「認知症」などと言い換えて得意げになる“人権”には断固反対である。だがそれはボケ老人を労らないということではない。ボケ老人は可哀想な人であり、それ故に保護され、労られるべきだ、という考え方だってあるだろう。仮に「ボケ」や「痴呆」が見下した言い方なのだとしても、安易にそれを言い換えたところで、彼我の関係性が変わるわけではない。ましてやボケているのを良いことに不要な工事を“契約”するような悪徳業者など認められない。だいたいこれは準詐欺事件ではないか。

 毎日新聞の記事はこのように締めくくられている。


--引用--
 これについて、工事額が最も多い会社の社長は「姉妹は10年来の顧客で病気とは思わなかった。(受注額の)2500万円は多すぎると思うが、下請けが契約を取ったので、全部は把握していなかった」と釈明。返金については「即答できない」と答えた。
--引用終--


 いい度胸だ。自らのしたことを正しいと思っているご様子だから、業者も下請けも実名で報道して差し上げてはどうだろう。特に産経新聞。「匿名発表であることによって報道の不正確さを招きかねない 」のでしょう?


 と、FNNの続報 を見ると同社長は


--引用--
社長は「(2,500万円のリフォーム工事は必要か?)必要ないと思います。『ご迷惑かけました』のひと言です」と語った。
--引用終--


 そうで。中にはいくつかは不要ではない工事もあったのかも知れないが、もしひとつでも不要な工事をしていた業者は、懲罰的に全額を返金させるべきであろう。そもそもが準詐欺罪なのだから。それに応じない業者や仲介人は公の場に出て自らの正当性を主張してもらうのが妥当ではないだろうか。どちらかと言えば老姉妹の側に立った報道しか目にしていないし、昨今のマスコミには今ひとつ信用の置けぬところでもあるので、是非とも業者の言い分も聞いてみたいのだが。