web上でも、今回盧武鉉韓国大統領がウエブサイトに発表した見解は、「さすがにいくら親韓でもフォローしきれないだろう」というものだった。そりゃそうである。

 そもそも「竹島の日」は、日韓共同領域とされている箇所に日本漁船が近づこうとすると韓国側の嫌がらせで満足に漁ができない、そんな漁師達の不満に端を発している。だから島根なのであって、“右翼的な”東京都などで定めたわけではないのである。だいたい、外務省が「韓国での(ほとんどが否定的な)見解をまとめた資料」なるものを島根県議に送りつけて採択阻止の圧力をかけていたぐらいではないか。にもかかわらず「一部地方自治体や軽薄な国粋主義者の行為にとどまらず、中央政府のほう助の下で行われているため、日本政府の行為とみなすほかない」だのと云っているそうで、これはもう精神病理の領域を疑ったほうが良いのかもしれない。
 まあ、それはいい。盧武鉉のバカは今に始まったことではないのだから。が、以下にこの件についての各紙の反応を見てみる。

産経 ■【主張】盧大統領談話 成熟した国の対応でない

読売 [盧武鉉談話]「日韓対話への悪影響を懸念する」

毎日 韓国大統領談話 事実認識で誤解はないか

朝日 日本と韓国――二人の首脳に言いたい

 一読して比較すればわかるが朝日の既知外っぷりが突出している。他の三紙は盧武鉉の暴走(それも事実誤認や思いこみに基づく)を批判し、冷静になれと記しているのに、朝日だけは「二人の首脳に言いたい」と来た。何よりも朝日の既知外っぷりが明らかな点は、二人の首脳に言いたいと記しておきながら、盧武鉉には何も是正を求めていなければ、批判もしていないという点だ。
 朝日の社説が二人に何を言っているか列挙してみよう。

・私たちはこの表明を残念に思う。(盧)
・なぜ、大統領がそうまで語るに至ったのかを考えてみなければならない。日本政府は事態を軽く見過ぎてはいないか。(小泉)
・文科省の政務官が、教科書の検定にあたって近隣諸国に配慮する条項を否定するような発言をした際にも、首相は条項の大切さを説いて韓国側を安心させる努力をしたか。(小泉)
・。「竹島の日」条例で日韓関係がこれだけささくれだっているのに、まるで傍観者のようだ。(小泉)
・その一方で自民党には憲法を改正し、自衛隊を軍隊にしようという動きが進む。首相は靖国参拝をあきらめたわけでもなさそうだ。韓国民から見れば、戦前回帰と疑いたくなるのも無理はない。(小泉)
・盧大統領の談話はいきなり飛び出したのではなかろう。積もり積もった不信感が過激な言葉になったとみるべきだ。(小泉)
・小泉首相は日韓の過去をどう考え、その未来をどう描いているのか。だんまりを決め込むのでなく、丁寧なメッセージを韓国へ向けて発すべきである。(小泉)
・日韓関係がこんな有り様では、北朝鮮に核廃棄を迫る6者協議にも深刻な影響が避けられまい。(両者)
・政治対話のパイプがこれほど詰まっていたことを、二人の首脳には重く受け止めてもらいたい。(両者)

 ほらね。実質的に盧武鉉には「表明を残念に思う」としか言っていない。しかもそういう残念な表明や、日韓関係が悪化していること、対話が滞っていることの原因は小泉にあると言っているのだ。

 断じていい。朝日伝聞社は輿論工作をしている。