まことに反省すべき事であるが、先の大戦中は、戦時下とはいえ、我が国の国民に正しい情報が伝わらなかった。これは国の管制によるもので、もちろん戦時中に戦局をおおっぴらに報道するわけにはいかないのだろうが、明らかに大敗北した戦闘を「転進」などとみみっちい言い換えをしていた・させていたことは、我が国にとっての文化的汚点である。小室直樹がそれを言霊信仰の一だというようなことを書いていたと思ったが、起きてしまった大敗北を転進などと言い換えることで何の輝かしい未来が訪れるというのか。百歩譲って大本営が景気の良いことを言い続けるのはともかくとしても、「神州不滅」のはずが上空に爆撃機が我が物顔に飛んで爆弾を落としていくような事態ともあれば、批判を許すぐらいの度量は持っていただきたいものである。もっとも毎日新聞のように「いいかげん本当は負けてますって正直に言ったらどうだ」、とやって発禁になる者もないではなかったが。
その一方、戦争をしていないにもかかわらず(厳密に言えば停戦中だが)、国民に正しい情報が伝わらない国がある。韓国のマスコミは一体どうなっているのだろう。
・日本の教科書は国定ではない。
・検定に通っても採択されるとは限らない。
・学問的に否定されている記述は認められていない。
・韓国が主張する竹島の領有権は国際的に根拠が不明瞭。(少なくとも日本領とする余地はある)
などの明確な事実を、なぜ韓国マスコミは伝えようとしないのだろう。だからウリナラチラシ(ウリナラ=朝鮮語で「我が国」)などと揶揄されるのだ。あるいは韓国マスコミが伝えても、韓国人は理解できない/理解しないということなのだろうか。
たとえば日清戦争の日本の宣戦布告文は
--引用--
朝鮮ハ帝国カ其ノ始ニ啓誘シテ列国ノ伍伴ニ就カシメタル独立ノ一国タリ 而シテ清国ハ毎ニ自ラ朝鮮ヲ以テ属邦ト称シ陰ニ陽ニ其ノ内政ニ干渉シ其ノ内乱アルニ於テ口ヲ属邦ノ拯難ニ籍キ兵ヲ朝鮮ニ出シタリ
--引用終--
(朝鮮は日本が誘って列国の地位に就いた独立国である。にも関わらず清は朝鮮を属国として内政干渉し、内乱を鎮めるとの口実で朝鮮に出兵している)
とある。これを左派の言うように仮に「日本が朝鮮半島を侵略するための口実」だと決めつけたとしても、それに対する清国の宣戦布告は
--引用--
朝鮮ハ我大清ノ藩屏タルコト二百余年、歳ニ職貢ヲ修メルハ中外共ニ知ル所タリ近ク十数年、該国時ニ内乱多ク朝廷ハ小ヲ宇ムヲ懐ト為シ、畳次兵ヲ派シテ前往勘定セシメ竝ニ員ヲ派シテ該国都城ニ駐紮セシメテ時ニ随ツテ保護セリ
--引用終--
(朝鮮は我々の属領たること二百年あまり、年々朝貢をしていると内外に知れ渡って十数年。内乱が多いので、兵を派兵して平定し、また都城に駐屯させて保護している)
と、属国宣言をしてこれを正当化している。ならば朝鮮は清国の宗主国だったのかと問えば、韓国の教科書では朝鮮は独立していたかのような言い方をしていて、四年前は「属国ではない。訂正せよ」と検定意見に文句を付けてきてた。
まともに考えれば日清戦争は、1.朝鮮を独立させて列強の防波堤とするために、何かと影響力をちらつかせる清を追い払った。2.日本が朝鮮を“植民地”とするために、朝鮮を属国化していた清と戦った。のどちらかとなるはずだが、なぜか属国化して駐屯を正当化している清を侵略だとは言わないどころか、属国であったことすら認めていない。では清はなぜ当時朝鮮に駐屯していたというのか。韓国の「歴史認識」は一事が万事このレベルなので、そんなキチガイじみたクレームに一々応じる必要などあるまい。「アジア共通の歴史認識」とやらにしたって、この調子では無理である。例えば金日成親子をどう評価せよというのか。ソ連の差し金の金聖柱が、抗日ゲリラの英雄・金日成を詐称して君臨し、大躍進ばりの思いつきの政策と、スターリンばりの粛清や恐怖政治で北朝鮮を世界最貧国まで貶めた上に、息子の正日に権力を世襲させた、という基本的な認識すら共有できまい。
半年ぐらい前だったか、産経新聞京城支局長の黒田勝弘氏が「反日は韓国の元気の素」などと冗談めかして紹介していた。近頃の韓国は、反日で交流事業をやめてみたり、事実に対して「歪曲だ」などと正式な外交ルートでクレームを付けたり、国旗や自分の躰に火を付けたりと、元気の素が過ぎて精神錯乱に至ってしまったかのようだ。これじゃ元気の素じゃなくてヒロポンではないか。反日やめますか? それとも人間やめますか? ……人間のほうやめちゃうんだろうな、やっぱり。